研究課題
これまでに開発したミクロンCT に改良を加え、ミクロンCT による形態観察データを元にした照射位置決定が可能なシステムの構築を図った。開発したシステムは、マイクロビームの軸と垂直に回転ステージを配置したものである。また、これまでのマイクロビーム形成システムの分解能は1ミクロン以下を達成していたが、細胞照射を考えた場合、これでは不十分であった。さらに、CTにおいてはビーム強度が十分でないため、ビーム径を2ミクロン程度にしてビーム強度を稼いでいたが、そのためミクロンCTの分解能が5ミクロン程度にまで制限されていた。そのため、本研究では、ビーム強度を下げることなくビーム径の縮小化が必要であるので、現有のマイクロビームシステムの縮小率の向上を図った。シミュレーションにより最適化し、1ケタ以上の縮小率を得られることが分かった。この設計を元に実際にシステムの構築を図った。現在アライメントを中心としたシステムの最終調整段階にある。これと合わせて、加速器の電圧安定度の向上を図った。発振回路の特性測定の結果、調整がずれており調整をすることにより電圧安定度の大幅な向上が見られることが分かった。現在電圧安定度の調整についての検討を行っている。加速器の輝度の向上に関しては、イオン源の改良を進め、従来よりも10倍程度の輝度向上を図ることができた。
2: おおむね順調に進展している
今年度の目標としていたミクロンCTシステムの高度化と、加速器のビーム輝度の向上、安定度の向上は独立に進めてきており、それぞれ目標を達成しているが、共に組み合わせた全体的なシステムは最終調整段階であるが、共に目標は達成しているためまもなく総合的な目標は達成できると考えられる。
本年度は、3次元照射技術の開発を行う。3次元のピンポイント照射技術の構築のためには、撮影した3次元画像から、数角度からの2次元照射パターンを形成し、照射すれば実現できる。これについては、CTの3次元画像再構成法の逆で導出することが可能である。また、イオンビームのエネルギーを変化させ、ブラッグピークを照射位置に併せることによっても実現可能である。エネルギーを変えることによる深度制御は、加速器、ビーム輸送系、四重極レンズのパラメータを変える必要があるため、ビームの再調整が必要となる。そこで、試料位置を回転させ、表面から、照射位置の透過深度を変えることにより、実現する予定である。しかしながら、中心部の照射が必要な場合には、回転による深度制御が不可能であるため、エネルギー変更による深度制御技術の構築も必要となる。この際、エネルギーと磁場強度を10-5程度の精度で決定すれば計算によりビームの再調整が可能となる。これについては精密分割抵抗とホールプローブにより測定が可能となるため、電圧、磁場測定系を整備し、計算値からのビーム調整技術の構築を図る
平成23年度で、主要な装置の購入はすませており、開発した装置を使用した実験が主になる。そのため研究費は、これらの装置の調整のための電子部品、真空部品の購入と加速器を運転するのに必要な加速器消耗品となる。なお、平成23年度未使用額が発生しているが、これは4月支払分であり、すでに執行済みであるため、次年度での使用予定はない。
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