研究課題/領域番号 |
23656584
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳田 健之 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (20517669)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線・X線・粒子線 / 先端機能デバイス / セラミックス |
研究概要 |
核医学、資源探査、素粒子物理、セキュリティ、物流計測など広汎な応用範囲を持つ放射線検出器は、一般にシンチレータと、蛍光を受ける受光素子 (光電子増倍管:PMT、Si半導体検出器:Si-PD) とから構成されており、最終製品の性能を決定する部位となっている。近年ではシンチレータとしてハロゲン化物を用いる研究が盛んであり、本研究の目標は発光量 100000 ph/MeV、エネルギー分解能 3% 以内 (662 keV) の新規シンチレータの創出である。本年度はCsBa2I5 系および Cs3Y2I9 系の研究を行った。これらの Ba や Y サイトに希土類、遷移金属といった発光中心元素を添加することでシンチレータの形成を目指した。また参照用として、古典的なハロゲン化物シンチレータである Tl:CsI に関しても合成し、基礎特性評価および特性改良を試みた。CsBa2I5 系に関しては、特に Eu を添加したシンチレータでは Eu2+ の 5d-4f 遷移が発現し、発光波長は一般的な光電子増倍管と相性の良い 420-440 nm 程度であった。137Cs の 662 keV ガンマ線を照射したところ、発光量は約 105000 ph/MeV であり、研究目標である 100000 ph/MeV を超えていたが、エネルギー分解能は 20% 程度と改善の余地が残った。一方Cs3Y2I9 系に関しては純度の良い希土類原料が市販されておらず、着色や水分の混入といった問題が見られ、発光量は約 25000 ph/MeV にとどまった。また Tl:CsI に Bi 共添加を試行したところ、エネルギー分解能に劇的な向上が見られ、662 keV において 4.3% を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目標は 100000 ph/MeV 以上の発光量および662 keV におけるエネルギー分解能 3% 以内である。本年度の研究で前者を達成したため、おおむね順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を基に手堅いところでCsBa2I5 系の改良を行う。合成条件や Eu 濃度の最適化でさらなる高特性化が期待できる。またTl:CsI は合成条件や Bi 共添加濃度の最適化でさらなる高特性化が図れる可能性があるため、引き続き試行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
合成に用いる消耗品、計測に用いる高速増幅器、および学会参加や研究打ち合わせの旅費を計上した。
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