研究課題/領域番号 |
23656584
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
柳田 健之 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 (20517669)
|
キーワード | 放射線・X線・粒子線 / 先端機能デバイス / セラミックス / 単結晶 |
研究概要 |
核医学、資源探査、素粒子物理、セキュリティ、物流計測など広汎な応用範囲を持つ放射線検出器は、一般にシンチレータと、蛍光を受ける受光素子 (光電子増倍管:PMT、Si半導体検出器:Si-PD) とから構成されており、最終製品の性能を決定する部位となっている。近年ではシンチレータとしてハロゲン化物を用いる研究が盛んであり、本研究の目標は発光量 100000 ph/MeV、エネルギー分解能 3%以内 (662 keV) の新規シンチレータの創出である。本年度は主に Eu 添加 SrI2 系の検討を行った。Eu:SrI2 は現在、世界的に研究開発競争が繰り広げられており、特に高発光量、高エネルギー分解能が期待できる。今回、ブリッジマン法を用いて幾つかのサンプルを開発した。シンチレーションにおける発光波長は 420 nm 前後で、蛍光減衰時定数も 1-2 マイクロ秒程度と良好な特性が得られた。発光量は最大で約 60000 ph/MeV、エネルギー分解能も 4-5% 程度と、シンチレータとしては十分な特性であるが、目標には到達しなかった。この理由としては、現状、Eu の添加濃度を最適化出来ていないためと考えられており、この部分を改良することでさらなる特性向上が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目標は 100000 ph/MeV 以上の発光量および662 keV におけるエネルギー分解能 3% 以内である。これまでの研究で前者を達成したため、おおむね順調に推移していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を基に手堅いところでCsBa2I5 系の改良を行う。合成条件や Eu 濃度の最適化でさらなる高特性化が期待できる。またTl:CsI は合成条件や Bi 共添加濃度の最適化でさらなる高特性化が図れる可能性があるため、引き続き試行する。加えて Eu:SrI2 の Eu 添加濃度最適化も合わせて試行する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
合成に用いる消耗品、計測部材、および学会参加や研究打ち合わせの旅費を計上した。
|