研究課題/領域番号 |
23656585
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北島 純男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30161475)
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研究分担者 |
笹尾 真実子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00144171)
岡本 敦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50396793)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 中性子源 / 荷電変換器 / タンデム型 / 資源開発 / 保安検査 |
研究概要 |
現在、中性子源は様々な分野で需要が高まっており、特に資源開発や地雷探査といった用途に対しては容易に移動可能で、過酷な環境や輸送あるいは衝撃に耐える小型な中性子源が必要である。 この目的のためには、運搬時に遮蔽を必要とせず、安全に取り扱うことのできるDD(重水素-重水素)反応やDT(重水素-3重水素)反応を用いた加速器中性子源が最適であり、小型で大強度という条件を共に満たすためには、負重水素イオンを用いたタンデム型が有利である。しかし、問題となるのが負イオンから正イオンへの荷電変換器である。従来のカーボン箔は、大きさや寿命という点で問題が大きく、輸送や衝撃には耐えることができない。本研究では、特殊な加工を施した金属表面を用いることによって、頑強でかつ半永久的に使用できる荷電変換器の開発を目的とする。平成23年度は関係者の打ち合わせを開催し、現在までに試行実験で得られた結果に基づき、今後の方針を立てた。この方針に基づき、形状測定レーザ顕微鏡を使用し、荷電変換器の表面形状比較を行なった。また、荷電変換器表面でのスパッタリング率、荷電変換器の熱負荷の調査を開始し、荷電変換器表面での反射率、変換率を検討するための原子物理を組み込んだコード開発、使用する中性子のエネルギーに注目した小型中性子源設計のためのコード開発に着手した。さらに、本研究で得られた成果を今後検証する為に使用するイオン源のビーム電流増大化のための最適運転条件を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に従い、概ね順調に研究を遂行した。得られた成果の国際会議や論文等における報告も順調に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
概ね次年度の研究実施計画に従い研究を推進することが適当であると考えている。本年度の調査研究の過程で、新たな条件による検証実験が必要となることが判明した。新たな条件への準備対応は本年度にほぼ完了しており、この検証実験を次年度に移行して実施する。特に本年度取得したイオン源のビーム電流増大化のための最適運転条件をもとに、形状測定レーザ顕微鏡により得られた成果の検証実験を行うことで、計算コードとの高精度な比較が可能になり、原型装置の設計が支援できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、平成24年度請求額とあわせ、検証実験の実施を次年度へ移行したことによる未使用額のほか、研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額も含まれる。本年度に準備対応を行い実施を次年度へ移行した新たな条件における検証実験の経費と、計画されていた研究の遂行に使用する予定である。実験の実施に必要な真空部品・資料・ガスなどの消耗品の購入とコード開発支援ツールなどの整備を行う。また、得られた成果の国際会議における発表、論文投稿にかかる費用に使用する。
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