本研究は,使用済燃料の再処理から発生する高レベル放射性廃液中に含まれるアメリシウム,ネプチニウムなどのアクチニド元素の置換クロマトグラフィ法を用いた分離回収ための原理実証を行うことを目的とした.酸性抽出剤であるジ(2-エチルヘキシル)リン酸(HDEHP)を含浸担持した担持体を充填材として用い,カラム内に形成した吸着帯を分画することで有用元素の分離を行った. 本年度は平成23年度選定した実験条件で置換クロマト分離実験を行った.HDEHPを10wt%含浸担持したシリカビーズ担体をステンレス鋼製カラムに充填し,セリウム,ユーロピウム,ネオジムの3種のランタニド元素混合溶液(ランタニド元素濃度0.015mol/L)をカラムに導入し,カラム内に形成した吸着帯を0.01mol/L硝酸溶液で押し出した.カラム出口の流出液をフラクションコレクタで分画し,分画溶液中の元素濃度の分析をICP発光分光分析装置を用いて行った結果,吸着帯前端においてユーロピウムの濃度比の低下,後端においてユーロピウムの増加が観察された.分離度としては僅かではあるが,本法によってセリウム,ユーロピウム,ネオジムの混合溶液からユーロピウムを分離できることが明らかとなった.
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