研究課題/領域番号 |
23656588
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平林 大介 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00402397)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
原子力発電所で発生する使用済み燃料の再処理工場で発生するヨウ素129を地層処分する前に確実に固定化するため,放射性ヨウ素を固定した使用済み銀系吸着材について合成ソーダライトに転換する新開発する研究を平成23年度から開始し、平成23年度予定の(1)模擬サンプルの作製、(2)処理過程の影響確認、(3)メカノケミカル処理条件の3項目を実施し,平成24年度実施予定項目の(4)ソーダライトからのヨウ素浸出試験を前倒して行った。この結果、(1)ヨウ化銀とゼオライトの混合物からなる模擬サンプルを作製した。このサンプルの遊星ボールミル処理は,単なるサブミクロンレベルの粒径変化に寄与するだけではなく,結晶ひずみを発生させながらナノレベルの微粒化すなわち非晶化に寄与すること,(2)得られた非晶質体を水熱変化させると,X線回折波形には目的となるソーダライト結晶の明確なピークと副生物としてのアナルサイムの結晶ピークが確認された。このうちソーダライトの格子定数は,ヨウ素を含むヨウ素型ソーダライトの理論値よりやや小さく,水酸化物イオンを含む水酸化物型のものよりも大きい値であること,結晶相は両者の固溶相を形成していることを確認した。形成した粒子を電子顕微鏡とEDXによる観察を行った結果,ソーダライトとアナルサイムの二種のゼオライト粒子に対応する粒子が確認され,ヨウ素はソーダライト上に均一分散していることが確認された。浸出試験の結果については,本来,ヨウ化銀が可溶となるチオ硫酸ナトリウム共存条件でも,粉体からのヨウ素の浸出量を10-5mol/dm3オーダの微量に留めることが出来る知見を得た。平成24年度はボールミル操作,ドライゲルコンバージョンによる操作について,最適処理条件の探索および,ヨウ素の挙動評価を行いつつ,合成メカニズムの詳細に踏み込む検討を実施しながら結果を取りまとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,当初に予定していたドライゲルコンバージョンに関するパラメータ最適化検討や非晶質化メカニズムの詳細評価に優先して,ヨウ素浸出試験を前倒して行い,メカノケミカル効果を用いたソーダライトへの変換技術としての実用評価を先行して行うこととした。これは当初使用を予定していた共同利用のラマン装置のレーザー光源が,ゼオライトフレームワークの構造解析に適さないことが判明したためである。このため,平成24年度項目(ソーダライトからのヨウ素浸出試験)と平成23年度項目(ドライゲルコンバージョン処理条件,ボールミル処理による非晶質化メカニズム)の一部項目を入れ替えて実施した。なお,この方針変更によりメカニズム詳細やパラメータ最適化などが平成24年度に繰り越されることとなった。平成23年度に前倒した浸出試験結果と併せて研究成果をまとめ学術論文として投稿したところ,メカノケミカル技術の化学工学的な実応用技術としての新規性と学術性が認められ,米国化学工学会のAIChE Journalへの掲載が決定した。なお研究項目を確実に実施するためのレーザーラマン装置については他の共同利用機器への代替を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,当該研究課題の最終年度である。平成23年度では,合成に成功したソーダライトに対する浸出試験を前倒して行った。従って,本年度は,当初計画に予定したうち,前年度に達成出来なかったドライゲルコンバージョン操作の処理条件に関する検討,非晶質メカニズムを行った上で,平成24年度当初計画で未検討であるヨウ素挙動に関する検討を行う。まずドライゲルコンバージョン操作については,所定条件でメカノケミカル処理を行った微細粉を,アルカリ溶液の添加量,処理温度,処理時間を変化させることで,同様にソーダライト生成に与える影響について調べる。次いで,非晶質メカニズムについては研究目的に適合する代替ラマン装置を使用して,メカノケミカル処理過程におけるゼオライトフレームワークのスペクトルを得る。ヨウ素挙動の評価では,浸出水に含まれるヨウ素量ではなく,固体側に固定されたヨウ素を定量し,参照試料と比較する。最後に最終年度であるので,研究結果を総括し成果発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に本研究遂行に必要な遊星ボールミルは購入してあるため,平成24年度の大型装置の機器購入の予定はない。平成24年度は,ソーダライトの合成に必要な試薬・消耗品類・分析用ガス・学会発表用の旅費・参加登録費用・論文誌投稿料また印刷費を予定している。
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