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2011 年度 実施状況報告書

量子ビームを用いた無機・有機コンポジット材料の作製と結合状態評価

研究課題

研究課題/領域番号 23656593
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

吉村 公男  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (40549672)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード無機・有機コンポジット材料 / 電子線 / ESR / 放射線グラフト重合 / 量子ビーム / 結合状態 / シリカ / アルミナ
研究概要

本研究では、放射線を用いた無機・有機コンポジット材料の合成手法の開発および、量子ビーム技術を用いた無機-有機結合部分の結合状態の解明を目的としている。今年度は、シリカやアルミナなどのセラミックスに放射線を照射した際に発生する反応活性種の追跡を行い、ビニルモノマーとのグラフト重合反応を検討した。十分に脱気・脱水したシリカおよびアルミナ粉末に対して、真空下1~10 MGyの電子線を照射した結果、吸収線量の増加に伴って不対電子の存在を示すESRシグナルの強度が増加し、放射線照射によってセラミックス中に反応活性点を誘発できることが明らかになった。それぞれのESRシグナルの強度は吸収線量約5 MGyで飽和した。照射後の粉末に対してスチレンをビニルモノマーとするグラフト重合反応を行い、光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡を用いた構造評価を行ったところ、表面に高分子層が形成されていることが確認され、本プロセスは無機・有機コンポジット材料の新たな合成手法となりうることがわかった。反応後の粉末のESRシグナルの強度は反応前に比べ大きく減少しており、電子線照射によってセラミックス中に誘発された反応活性点は、反応等により大部分が消費されたものと考えられる。無機-有機結合部分の結合状態の確認においては、シリカやアルミナにおける構成元素のケイ素やアルミニウム等の軽元素よりもジルコニア等におけるジルコニウムのような重元素を含むセラミック材料が分析に適していることがわかり、今後はジルコニア等への本手法の展開を図り結合状態の解明を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

電子線照射によってシリカやアルミナ等のセラミックス中に反応活性点を誘発できることを明らかにすることができ、また、反応活性点を用いた重合反応が進行することを確認できた。無機-有機結合部分の結合状態の確認においては進展が見られていないが、ジルコニア等の重元素を含むセラミック材料が分析に適していることがわかっており、今後明らかにできると考えている。

今後の研究の推進方策

前年度は電子線を用いてセラミックス中に反応活性点を誘発させていたが、より簡便で、低コストのγ線を用いて同様の手法が確立できないか検討予定である。放射光を用いた結合状態の確認では、ジルコニアにおけるジルコニウムのような重元素を含むセラミック材料を用いることで明確な差異が確認できることがわかったので、ジルコニアを基材とする無機・有機コンポジット材料の作製と評価を行う。

次年度の研究費の使用計画

ジルコニアなどのセラミック基材および特殊試薬の購入、ESR管等のガラス器具の購入および不活性ガスの購入に使用する。また、学会参加費並びに成果発表、研究打ち合せ、測定の際の旅費として使用する。

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公開日: 2013-07-10  

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