研究課題/領域番号 |
23656598
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
神本 正行 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 教授 (80356823)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 太陽電池 / シリコン / ソーラーグレードシリコン / 還元 / シリカ / コンビナトリアル / カーボン |
研究概要 |
現在、太陽電池市場の大半は結晶Si太陽電池が占めており、短中期的には今後も主流であることが予想される。したがって太陽光発電の大量導入を図るには、半導体級Siに頼る現在のシリコン供給体制から脱却し、安価な太陽電池級Si製造プロセスを確立する必要がある。本研究は、大量に存在する珪砂を高純度化したシリカを出発点とし、これを炭素で直接還元して太陽電池級Siを得る製造プロセスに関するものであり、大幅な省エネと低コスト化が期待される。本研究の目的は、このプロセスの素反応の熱力学平衡と反応速度、ならびにガスの流れを実験及び計算により詳細に解析し、プロセスおよび還元炉の構造設計に必要な知見を得ることである。原料である酸化シリコンは、炭素で還元されるときに様々な副生成物を経由してシリコンに還元される。還元プロセスの歩留まりを向上させるには、この副生成物を制御することが不可欠である。副反応式によれば、副生成物であるSiOとSiCからシリコンが生成されるので、副生成物の反応制御が重要である。熱力学計算によると、このSiOとSiCの反応プロセスでは、炭素が存在すると常にSiCが優先的に生成されることが分かった。すなわち還元剤である炭素の残存量がシリコンの生成に大きな影響を及ぼすことが示唆されるため、原料の混合・供給プロセスの最適制御が重要であることがわかった。炭素の消費量、そしてSiCの生成量と消費量を精密に制御しながら、誘導加熱法で加熱することによって、シリコンを得ることが出来た。基本的な指針としては、ガス相であるSiOを出来るだけ逃さないで反応させることが焦点となる。今後さらに条件を最適化して収率の向上を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SiCを制御して反応させることによって、シリコンが得られた。これらの反応は、生成ガスである一酸化炭素をモニタリングすることによって、反応の進行をモニタできている。今後、反応温度や仕込み量をさらに詳細に調整して一酸化炭素をモニタリングしながら、生成量を増加させる。
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今後の研究の推進方策 |
一酸化炭素のモニタリングには成功しているが、一酸化硅素のモニタリングは分子量の問題からまだ成功していない。今後、新たな1~200の分子量を観察出来る質量分析装置を取り付けることによって、反応の詳細を調べることができるように改造する。生憎、東日本大震災の影響で装置がダメージを受けたが、装置の復旧も順調に進み、現在、問題なく実験出来ており、今後、研究進捗を加速していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
高純度カーボンルツボなどの消耗部材が高く、主にこれらの購入に使用する。また真空部品、原料粉末、高純度ガスなどの消耗品について購入して実験を進める。
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