研究概要 |
研究目的 下記のISN熱化学サイクルでアンモニア合成する方法を考案し、それを実験的に検証することを目的とした。 (1)0.5N2+4HI→1.5I2+NH4I(120℃、発熱)、 (2)NH4I→HI+NH3(500℃、吸熱)、 (3)1.5SO2+3H2O+1.5I2→1.5H2SO4+3HI(40℃、吸熱)、 (4)1.5H2SO4→0.7502+1.5H2O+1.5SO2(800℃、吸熱) 反応(2)~(4)は、文献により反応の進行が確認されているが、反応(1)は、文献に記載されておらず、本研究で反応確認や最適な反応条件や触媒を実験的に検証した。 実験結果 オートクレーブを用いた回分装置で行った。この反応は25℃でΔG<0から熱化学的には常温で反応が進行すると考えられる。しかしながら、反応速度の関係から反応は温度を操作することで促進される。今回は180℃で実験を行った。仕込んだ窒素基準のNH4Iの転化率は時間ごとに増加していった。また、同一反応条件において触媒を用いて実験を行った結果、転化率に向上が見られた。反応液は、吸光度法とイオン電極法の2種類でアンモニウムイオンの評価を行った。NH4+濃度[mg/L]としてそれぞれ3.60と3.96の値が得られた。この値は、転化率として考えた場合、平衡値の15mol%に対して0.31mol%と低い値であるため、触媒が必要であることが分かった。これにより、アンモニアの生成が確認されたので、各種の触媒の活性評価を行った。Ru、Pt、RhではRuが最も高い活性を示し、Ruを3種類の担体に担持して行った実験では、Al2O3,ZrO2,Ta2O5,SiO2は無触媒と比べ、1.5~2倍程度の転化率が得られAl2O3への担持が最も高い結果が得られた。次に回分式反応器から流通式反応器に変えて、Al2O3を担体としてRu触媒を充填して実験を行った。その結果、生成したアンモニアはヨウ化アンモニウムとして反応器内にほとんどか残留し、ごく一部がアンモニアガスとして発生することがわかった。これらの結果から、ISNサイクルは、ISサイクルの研究成果をさらにアンモニア製造サイクルに発展できる可能性があることを示した。しかし、流通式反応器での実験から、充填層形式では生成物を取り出すことが困難なであり、流動層のような反応様式を検討することが必要であることが分かった。
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