研究課題/領域番号 |
23656607
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上田 岳彦 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (80293893)
|
キーワード | スクリーニング / 燃料ガス / 微生物 / 微細パターン / マイクロ流路 / プロファイリング / 育種 / プレーティング |
研究概要 |
「浮上したマイクロ培養器からの水素の検出」培養器が浮上して到達する液面にパーティションを設置し、微小に構成したC-Pt/電極により、微生物の水素産生を個別に検出する計画です。基材の製作、電極の形成、界面に浮上したマイクロスフィアを観察する顕微鏡装置の製作、定電圧印可回路の製作について完了しました。また、予備的に行った環境微生物の産生する二酸化炭素、還元性ガス(水素、硫化水素)、酸化性ガス(酸素)の化学的検出に成功しました。水素などの還元性ガスの電極応答については、極微小電流計へのバックグラウンド電流の影響の排除について課題があり、実証的結果を得るために条件の最適化中です。 液面パーティションは浮上したマイクロ培養器を個別に捕獲するために設置しました。素材として、化学的に不活性なPDMS材料によりマイクロモールド法により作成しました。100μmのパターンを形成するために、感光性樹脂薄膜に微細パターンマスクを通して紫外線感光させることで形成したネガパターンを鋳型として作成しました。形成したPt電極に定電圧を印加し、浮上マイクロスフィアの内在ガスの検出を試みました。観測された電流はサブnA程度で、かつマイクロスフィアからの拡散過程の揺らぎにより電極応答が影響を受けやすく、防震台や静電遮蔽に関して条件を最適化する必要があることがわかりました。 この装置の製作により、浮上したガス産生微生物のうち、さらに水素産生により浮上した微生物のみを選択的に回収できます。本研究の目標である環境微生物の産生ガスの種類による効率の高いスクリーニングの実現のため、今回の試作で得られた改善点と課題を踏まえながら装置を完成させる必要があります。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、水素ガスなどの有用燃料ガスを効率よく産生する未発見の微生物資源を、簡便かつ効果的に発見する、新規な微生物単離法を確立することです。 本研究が提案する単離法は、ガス産生能力に基づいた自らの浮力で微生物を単離するものであり、難培養性の微生物にも適用できます。それが確立すれば、今まで発見されていない国内の環境からの新発見も期待できます。土壌や湖沼などから、前処理なしに直接ガス産生能力のある微生物が単離されれば、その成果を燃料ガスの生物生産などの分野に速やかに応用できます。 既に、単一の微生物を担持したマイクロスフィアを環境試料から直接に調製することに成功し、該当年度には各種ガスの産生を化学的に検出することができました。電気化学的検出にはまだ課題があるものの、そのために必要な微細パターンを使ったマイクロスフィアのスクリーニングと、個別マイクロスフィアの放出する溶存ガスの電気化学検出に使用する装置の試作が完了し、新たに見出された課題に対して条件を最適化することにより克服する方針を得ています。目的達成のための進捗は十分に達成していると考えています。
|
今後の研究の推進方策 |
一般環境試料からの水素産生微生物の単離・同定を試みます。すなわち、鹿児島県周辺の火山性土壌、温泉水、貧栄養土壌からの試料から水素産生微生物の単離を試み、16S rRNA遺伝子配列解析により同定を試みます。新規に有用な微生物を発見する可能性が高い候補地の情報が既に得られており、サンプリングした試料から水素産生微生物を選択的に単離して、本法の汎用性を確立し、またその新水素産生微生物を広く提供する計画です。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|