太陽光を利用して水から水素を発生させる人工光合成の実現において、その光誘起電子移動反応後の逆電子移動を抑制し、長寿命電荷分離状態を形成することは最重要課題である。本研究では異相間遠距離電子移動を行い、さらにそれに続く多段階の電子移動による長寿命電荷分離状態を可能とする両親媒性飛石型共役系高分子ワイヤーの合成と物性について検討した。 高分子の合成は2種類の方法で検討した。一つは親水性高分子と疎水性高分子を合成したのち、それらを結合する方法で、昨年までの単純混合法では十分な収量が得られなかったが、今回、凍結濃縮法を応用し高収率で高分子を得ることに成功した。二つ目は連続滴下重合法という新しい高分子合成法の開拓で、構造制御した両親媒性飛石型共役系高分子ワイヤーの合成に成功した。 次に両方法で得られたポリマーが水相-有機相界面に存在することを分光学的に検討した。なお、レーザーを用いた超高速の電子移動(1ps程度)に関する検討は均一系では成功しているが、水相-有機相ミセル系に関しては現在測定条件を検討している。
|