研究課題
植物特有のオルガネラである葉緑体のRNA編集酵素の探索と同定を目的に研究を行った。ヒメツリガネゴケを用いた逆遺伝学的手法により、葉緑体のRNA編集酵素の有力な候補であるペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質に重点をおいて解析を行った。最終年度に得られた主要な成果は次の通りである。(1) ヒメツリガネゴケの葉緑体ゲノムでは1カ所だけRNA編集が起こるが、このRNA編集部位(+2C部位)に作用する因子として葉緑体局在型PPRタンパク質のPpPPR_45が有力な候補因子であることが情報解析により推定された。そこでRNAi法によりPpPPR_45遺伝子の発現を抑制した変異株を多数作製し、葉緑体におけるRNA編集の影響を調べた。その結果、PpPPR_45がrps14の+2C部位のRNA編集に関与することを明らかにした。そこで次に、PpPPR_45タンパク質にRNA編集酵素活を有するかを生化学的に検証する解析を進めている。研究期間全体を通じて実施した研究の成果は以下の通りである。(2)2種類のミトコンドリア局在PPRタンパク質、PpPPR_78とPpPPR_79がミトコンドリアmRNAの3カ所のRNA編集部位に作用することを明らかにした。本成果はPPRタンパク質がミトコンドリアのRNA編集にも働くことを示した重要な発見である。(3) ミトコンドリア局在型PpPPR_43遺伝子を破壊すると、ミトコンドリアのRNA編集は正常に起るが、cox1 pre-mRNAの第3イントロンのスプライシングが起こらないことを見いだした。ヒメツリガネゴケのPPRタンパク質がRNA編集だけでなく、RNAスプライシングにも関与する可能性を初めて示した重要な成果である。
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Plant and Cell Physiology
巻: 53 ページ: 1124-1133
10.1093/pcp/pcs058
http://www.gene.nagoya-u.ac.jp/~sugita-g/ronbun.html
http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/paper/index.html