1.プール化精子DNAを用いたRim変異生成の定量化 Rim変異がPrdm9によるヒストン修飾の制御破綻が原因で誘導されたのであれば、低い頻度でも同様な変異が小数の精母細胞で生じていると考えられる。そこで、MHC内組換え系統のマウス個体の精子DNAをプールした上で、そのゲノムDNAをテンプレートにして、Rim変異遺伝子のみを増幅するPCRプライマーを設計し、nested PCRによって関連するゲノム構造変化の検出を試みた。これまでのところ、この方法での既存の変異に対応するようなゲノム構造変化は検出されなかった。この理由として、個々の変異生成機構に多様性がある可能性と、既存のMHC内組換え系統において変異生成活性が低下してしまった可能性がある。 2.トランスジェニックマウスによるDNA二重鎖切断(DSB)検出系の構築 活性型PRDM9遺伝子を持つヒトの精子を用いた解析では、非対立遺伝子間相同換え(NAHR)が高し頻度で生じる。そこで、Prdm9によるDSB誘導を経由した組換えによって、精子がGFPを発現する検出系をトランスジェニックマウスの作出によって構築することを目的として実験を行った。特に、Prdm9認識配列と雄1個体で効率良くDSBの誘発頻度を測定できることをゴールとした。具体的には、全身でミトコンドリア局在型GFP(mitoGFP)を発現するCAGGS-mitoGFPベクターのCAGGSプロモーターとmitoGFPを分断する様にPsmb9 hotspot Genome断片を挿入した。この時、CAGGSプロモーターはLoxPで、mitoGFP cDNAはFrt配列で挟み、それぞれ個別に削除可能にした。現在このコンストラクトをTol2トランスポゾンシステムにより1遺伝子座に1コピーのみが挿入されたTransgenicマウス系統を作製している。
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