研究課題
平成26年度は以下の様な研究結果が得られた。複数種のシロアリを混合した場合の腸内共生原生生物群集の変化について、データの最終的なとりまとめを行い、組成の類似性の経時的変化について解析を行った。2種の宿主シロアリが保有していた構成種が異なる腸内原生生物群集が、雑種形成による急激な群集混合後に再構成される際に、どちらかの宿主の組成に収束する現象に、腸内に共存する多種の原核微生物が与える影響について調査した。カンモンシロアリとヤマトシロアリの2種のワーカー集団の双方あるいは片方にアンピシリン投与した後にを混合し、30日間の飼育を行った後に腸内原生生物群集を調査した結果、両種共に抗生物質未処理の場合はヤマトシロアリの原生生物がカンモンシロアリへ移入した頻度が、逆の移入が起こった頻度に比べ多かった。抗生物質でカンモンシロアリを処理した場合、その傾向は強まり、ヤマトシロアリを処理すると弱まった。両方の種を抗生物質で処理すると、双方向の移入頻度が低下した。このことから抗生物質処理による細菌の存在が原生生物の定着に影響を及ぼしていることが示唆される。ヤマトシロアリとカンモンシロアリの長期飼育した2種の雑種コロニーおよび野外コロニーの個体を用いて、パイロシーケンサーによる真性細菌のSSUrRNA遺伝子の一部領域の配列取得実験を行った。人為的に作成した雑種コロニーの長内容物から調整した試料では、野外のヤマトシロアリのものに相対的に近い構成のSSurRNA遺伝子の配列が取得され、特異的原生生物種に加えて真性細菌についても安定な方の親種の組成が引き継がれる傾向があることが示唆された。
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