研究課題/領域番号 |
23657015
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
池田 啓 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (70580405)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 分子生態 / フィトクロム |
研究概要 |
本研究では野生生物の種内に見られる遺伝的変異の機能を明らかにすることを目指している。この目的のために、ある遺伝子の種内における対立遺伝子をそれぞれクローニングした上でシロイヌナズナの遺伝子変異株に導入する。そして、トランスクリプトーム解析を行うことで対立遺伝子間における機能的な差異があるか否かを検証することを予定している。1年目である本年度は、コメバツガザクラとミヤマタネツケバナのPHYE遺伝子における複数の対立遺伝子をクローニングし、シロイヌナズナのphyE欠損変異株へと導入することを予定としていた。様々な対立遺伝子を導入するための応用性を考え、InFusionシステムを用いたクローニングを試みた。しかしながら、PHYE遺伝子をクローニングすることが思うように成功しなかった。この理由の一つに、PHYE遺伝子が3.5kb近くある大きな遺伝子であることが考えられた。そこで、様々なベクターを試すことやインサートとなるPHYE遺伝子の断片を工夫することで、多岐にわたる実験を行った。その結果、ミヤマタネツケバナのPHYE遺伝子の一部をクローニングすることまで進めることができた。これらの試行錯誤により、PHYE遺伝子をクローニングするための手法がある程度は確立したため、次年度以降はこの方法に従った実験を展開することで、PHYE遺伝子の対立遺伝子間における機能的な違いを具体的に明らかにすることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度4月に異動があり、実験環境が大きく変化したことに加え、職務へのエフォートが大きく増加したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度クローニングしたPHYE遺伝子の一部は、PHYE遺伝子を大腸菌で発現させることができるものである。残された年度が一年であることを考えると、大腸菌で合成させたPHYEタンパク質をもとに、対立遺伝子間でのタンパク質レベルにおける活性の違いを明らかにすることが、本研究の目的を遂行する上で現実的な方法である。そこで、本年度はまず得られたPHYEタンパク質の配列が正確なものであるかを確認する。また、可能な限り多くの対立遺伝子を同様にしてクローニングする。その上で、大腸菌にタンパク質を合成させ、活性の比較を行う。タンパク質における実験は京都大学理学研究科長谷あきら教授に協力を頂ける体制が確立している。そこで、京都大学へと定期的に訪問・滞在することで、実験を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
長谷研究室への出張として、旅費の枠を大きく設ける。また、数多くのプラスミドを用意するための消耗品を購入する。成果の一部を発表し、議論するために国際学会へと参加する。
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