研究課題/領域番号 |
23657017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
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研究分担者 |
谷 幸則 静岡県立大学, 付置研究所, 准教授 (10285190)
内藤 博敬 静岡県立大学, 付置研究所, 助教 (30254262)
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キーワード | 微生物ループ / 地球温暖化 / ピコ植物プランクトン / 鞭毛虫 / 佐鳴湖 |
研究概要 |
静岡県・佐鳴湖において、夏季のピコ植物プランクトン大増殖に集中調査を行い、ピコ植物プランクトンの増殖に関わる生態解明、および原生生物のピコ植物プランクトン摂食を調べた。2012年は、8月1日と8月31日に調査を行った。佐鳴湖のピコ植物プランクトンは、8月1日は湖水1ml当たり8500000細胞、8月31日は6000000細胞と、従来の世界各地の湖沼からの報告と比べて極めて高い細胞密度であった。これらのピコ植物プランクトンの大部分は、フィコシアニンを豊富に含むタイプであり、濁度の高い水域に生息するピコ植物プランクトンの特性として従来の報告と一致した。佐鳴湖のピコ植物プランクトンは、窒素の添加により増殖が促進されたことから、本湖はピコ植物プランクトンにとって窒素制限にあることが示唆された。ピコ植物プランクトンの増殖・摂食速度は、希釈法により測定され、それぞれ1.04 d-1、1.23d-1と、やや摂食が上回るが、増殖と死滅がほぼ釣り合っていた。摂食速度は、佐鳴湖のピコ植物プランクトンを集めて、これを蛍光色素で染色したもの(FLP)を用いた蛍光ラベルトレーサー法も試みたが、佐鳴湖の湖水にはデトリタスが大変に多く、原生生物細胞内に取り込まれたFLPを検鏡作業で検出することができなかった。佐鳴湖のピコ植物プランクトンの単離は、京都大学の宮下英明教授のアドバイスを受け、平成24年度の後半にようやく単離株が確立する見通しとなった。しかし、ピコプランクトンを摂食する鞭毛虫の単離は、未だ成功していない。また、これらの微生物単離が平成24年度以内に成功していないことから、これら微生物を特異的に検出する遺伝子プローブの作成も行うことができなかった。
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