研究課題
挑戦的萌芽研究
全ての生物に共通する生化学反応である「代謝」の速度が体サイズのべき乗に比例して増加するという「代謝のサイズスケール則」に着目し、この現象を個体より上位の生物学的階層である生態系に適用することによって、「生態系メタボリズム」という生態系機能の新たな概念構築を試みた。高度に環境制御された中規模人工生態系実験装置を用いて湖沼の生態系メタボリズムを制御する要因の解析を行ったところ、代謝のサイズスケール則から導出される予測(小さな生物が優占する生態系ほどバイオマスあたりの生態系代謝速度は高くなる)とは合致せず、生態系代謝は最も希少な栄養素によって律速されることが明らかとなった。本研究は、代謝基質となる栄養素を転送する生物間相互作用の速度がシステム全体の代謝速度に影響し、生態系にとって利用可能な栄養元素比が根本的な律速因子となりうることを示唆した。生態系代謝を理解する上で、個体の代謝理論と生態化学量論を統合した新しいモデルの必要性が浮き彫りとなった。
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