研究課題/領域番号 |
23657023
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
河野 裕美 東海大学, 沖縄地域研究センター, 准教授 (30439682)
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研究分担者 |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10378606)
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キーワード | データロガー / GPS / マイクロビデオカメラ / カツオドリ / 巣立ち後世話期間 / 飛翔行動発達 / 採餌行動 / 社会的相互作用 |
研究概要 |
平成23年度は、繁殖島において兄弟間の無条件雛数削減によって巣外に排出されたカツオドリの雛を保護飼育し、巣立ち前から開放型飼育に移行することにより渡去に導く手法を応用し、幼鳥が親(本研究では保護飼育者)の給餌に依存しながら営巣地(飼育地)と海を行き来して渡去するまでの「親による子への長期的世話期間」に、マイクロビデオカメラとGPSデータロガーを交互に装着して、幼鳥目線の動画と行動軌跡を記録した。 幼鳥はその時期に飛翔行動を発達させ、行動域を拡大させていったが、その背景には幼鳥が海域で出会う成鳥や他種海鳥を追跡する行動があり、他者との関わりによって採餌海域等の情報を得ている可能性が示唆された。 平成24年度は、育雛中のカツオドリの成鳥にGPSを装着して採餌パターンを推定した.カツオドリは飛び込み潜水採食法を用いるが、一連の採餌行動には、1回のみの飛び込み潜水で構成されているパターン、局所的に一地点を中心にして行ったり来たりしながら採餌するパターン、直線的に移動しながら採餌するパターンが見られ、最初のパターンが全体の約35%を占めた.カツオドリは、トビウオとトビイカを中心にさまざまな魚種を捕食するが、複数の採餌パターンを用いることで、各々の餌種の分布状態に対応した採餌行動を試みていることが示唆された. これまでのデータロガーを用いた研究の主な成果は、個体の行動が明らかになることだったが、ビデオカメラを併用することによって、海洋生活に適応していく時期の幼鳥の行動発達の背景には、他者との社会的相互作用があることを初めて示した成果の意義と重要性は大きいものと考えている。 今後、成鳥目線からの索餌・採餌行動を撮影できるようになれば、別の視点から幼鳥の行動が明らかになると予想され、そのためには長時間記録のための開発が必要である。
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