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2011 年度 実施状況報告書

植物幹細胞の非対称性を確立する分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23657027
研究機関北海道大学

研究代表者

藤田 知道  北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50322631)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード植物 / 非対称分配 / ヒメツリガネゴケ / 転写因子 / アブシジン酸
研究概要

多細胞生物において、不等分裂にともなう運命決定因子の非対称な分配は、異なる運命を持つ娘細胞を生み出す根本原理の一つである。これまでの研究から、植物には動物とは異なる独自の運命決定因子の非対称な分配機構が存在していると考えられるものの、その実体はいまだによくわかっていない。 そこで、植物の幹細胞に特異的な転写因子が非対称に分配されていることに着目し、この転写因子がどのように非対称に分配されるのかを支配する「植物幹細胞タンパク質の非対称分配の分子制御メカニズム」を明らかにすることを目的とし、研究をすすめた。またこの転写因子とは異なる手段により分配されるしくみが同一細胞内にも存在するらしい予備的結果を得ており、これを検証し、そのしくみを明らかにする事も目的とした。 また本研究過程を進める中で、乾燥やストレスホルモンのアブシジン酸が、上記の非対称分配を抑制するらしい事を見出し、ストレス情報伝達因子がどのように非対称分配を抑制するかの分子機構解明を行う。 そこで、上記転写因子の非対称分配を定量的に検証したところ、培養環境により予想以上に非対称性を確立できる時間帯が変動する事を明らかにした。このことは細胞が非対称性を確立するのに柔軟なシステムをもっている事を示唆している。また、クロマチンリモデリング因子は、不等分裂を境に、幹細胞側でその核内の蓄積量が増加する事を見出した。この非対称性の確立は、上述の転写因子の非対称性が、おそらくは片側の娘細胞での分解により確立されていくこととは異なっているようである。またこれらの非対称性の確立は、いずれもアブシジン酸により抑制される事を見出した。アブシジン酸シグナル伝達因子群の内、ABI3がこの非対称性の抑制制御に関わっているらしい事が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

転写因子の非対称分配を定量的に検証したところ、培養環境により予想以上に非対称性を確立できる時間帯が変動する事を明らかにした。このことは細胞が非対称性を確立するのに柔軟なシステムをもっている事を示唆している。しかし、一方で、非対称性分配を再現よく観察できるアッセイ系の確立に時間をようした。また、クロマチンリモデリング因子は、不等分裂を境に、幹細胞側でその核内の蓄積量が増加する事を見出した。この非対称性の確立は、上述の転写因子の非対称性が、おそらくは片側の娘細胞での分解により確立されていくこととは異なっているようである。上記転写因子とは異なる非対称分配が、同一の不等分裂課程で見出されたことは大変興味深い。またこれらの非対称性の確立は、いずれもアブシジン酸により抑制される事を見出した。アブシジン酸シグナル伝達因子群の内、ABI3がこの非対称性の抑制制御に関わっているらしい事が示唆された。

今後の研究の推進方策

不等分裂にともなう運命決定因子の非対称な分配は、異なる運命を持つ娘細胞を生み出す根本原理の一つであり、これまでの研究から、植物には動物とは異なる独自の運命決定因子の非対称な分配機構が存在していると考えられるものの、その実体はいまだによくわかっていない。 そこで、植物の幹細胞に特異的な転写因子が非対称に分配されていることに着目し、この転写因子がどのように非対称に分配されるのかを支配する分子制御メカニズムを明らかにすることを目的とし、研究をすすめる。また、クロマチンリモデリング因子が、不等分裂を境に、幹細胞側でその核内の蓄積量が増加する事を見出した。この非対称性の確立は、上述の転写因子の非対称性が、おそらくは片側の娘細胞での分解により確立されていくこととは異なっているようである。上記転写因子とは異なる非対称分配が、同一の不等分裂課程で見出されたことは大変興味深い。どちらかの非対称分配の様式に着目し、その分配の分子機構の解明を行う。またこれらの非対称性の確立は、いずれもアブシジン酸により抑制される事を見出した。アブシジン酸シグナル伝達因子群のABI3などの因子に着目し、どのようなしくみで非対称性分配の抑制が制御されているのか、その分子機構の解明もすすめる。

次年度の研究費の使用計画

経費節減ならびに転写因子の非対称性の定量観察系の確立に時間を要したために生じた使用残については、次年度に分子生物学的解析の一部を行い、その分子機構の解明のために使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Selaginella Genome Identifies Genetic Changes Associated with the Evolution of Vascular Plants2011

    • 著者名/発表者名
      Banks, J.A.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 332 ページ: 960-963

    • DOI

      10.1126/science. 1203810

    • 査読あり
  • [学会発表] Plant extracellular matrix protein regulates asymmetric and symmetric modes of cell divisio2011

    • 著者名/発表者名
      藤田知道
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2011年12月13-16日

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公開日: 2013-07-10  

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