気孔の環境応答における、葉肉組織の役割を検討した。ツユクサの剥離表皮を適当なバッファーを含むゲランガム上におくと、長時間にわたる観察が可能である。剥離表皮では、白色光低CO2濃度では気孔は開くが、白色光高CO2における閉鎖は観察されない。また、葉片で見られる赤色光低CO2濃度における開孔は見られなくなる。剥離表皮を葉肉上にもどすと葉片と同様な反応が見られる。したがって、気孔の高CO2における閉口や赤色光による開口には葉肉からのシグナルが効くといえる。また高CO2による閉口は光合成阻害剤の有無にかかわらず起こるが、赤色光に開口は光合成阻害剤によって阻害される。この葉肉シグナルの実態を探るべく、メタボローム解析を行ったが、環境条件によって大きな変化をみせる有機酸やアミノ酸はなかった。今後糖類、植物ホルモン類などを精査する予定である。 CAM植物のコダカラベンケイソウでも同様な実験を行った。日中に墓ら剥離した表皮の気孔は光に応答しないが、夜間に剥離した表皮の気孔は光に応答して大きく開口した。また、同一時間帯に解析した場合でも、葉からの剥離した表皮と葉片とでは光に対する応答性が異なった。これらの結果から、CAM植物の気孔開閉制御にはリズムや葉肉組織からのシグナルが関与することが示唆された。 いずれの系でも、単色光の効果を精査をする段階までには至らなかったが、2013年度以降も、経常経費などを利用して研究を継続する予定である。
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