PPRタンパク質は、葉緑体とミトコンドリアにおいて特定のRNA配列を認識、結合し、そのサイトにRNA編集、安定化、翻訳、RNA切断などの関わる装置をリクルートする。シロイヌナズナPGR3は27のPPRモチーフからなり、petLオペロンRNAの5’ UTRに結合し、RNAを安定化する。またpetLとおそらくndhAの翻訳を活性化する。本研究では、PGR3のRNA結合に関わると考えられるPPRモチーフに変異を導入し、petLとndhAの異なる標的配列を認識するメカニズムを明らかにした。またC末側のPPRモチーフは、いずれの標的認識にも関わらないが、petLとndhAの翻訳に必須であることが明らかになった。C末側もRNA結合活性があると考えられ、この部分が標的配列の下流に存在する翻訳開始点付近のRNAの二次構造を破壊することでリボソームをリクルートすると考えられる。最終年度は、論文作成と追加実験を行い、その成果を論文発した。 本プロジェクトは当初PPRタンパク質が、タンパク質間相互作用でRNA編集装置を呼び込む分子機構の解明を目指した。しかしながら、研究開始当初から、RNAの二次構造を介したRNA成熟化装置のリクルートの可能性が高くなり、計画を一部変更している。最終的に、仮説が証明され、RNA編集装置の呼び込みにもこのメカニズムが関与している可能性が示唆された。
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