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2011 年度 実施状況報告書

概日リズム消失植物培養細胞を土台にした概日時計再構成系構築

研究課題

研究課題/領域番号 23657033
研究機関京都大学

研究代表者

小山 時隆  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30324396)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード概日リズム / 植物 / カルス
研究概要

本研究課題は、概日リズムを消失した高等植物のカルス・培養細胞に対して、外来遺伝子導入による遺伝子操作で概日リズムを復活させることを実験レベルの目標とし、その研究を通して細胞分化・脱分化における概日時計遺伝子振動ネットワークの変動、さらにその遺伝子ネットワーク構造における頑健性(ロバストネス)と脆弱性の評価を行う糸口を解明することを目的としている。本年度は概日リズムのないウキクサの培養細胞(カルス)を用いて概日リズムの再構成を目指した。以下に二項目の成果を述べる。(1)ウキクサカルスはオーキシンおよびサイトカイニンを含有する培地で維持されており、それらの植物ホルモンの概日リズムに与える影響を調査した。植物体では概日リズム発光を示す発光レポーターをカルス塊に導入後、ホルモンフリーの培地に移した発光量変動をモニターした。一週間観測したが、概日リズムの回復は見られなかった。(2)これまで、発光レポーターとして、ウキクサ内在の時計関連遺伝子LHY遺伝子のプロモーターでホタルルシフェラーゼ遺伝子をドライブするコンストラクトを用いていたが、シロイヌナズナのLHYホモログであるCCA1遺伝子のプロモーターをもつコンストラクトを導入することを試みた。両者は機能的な類似性も示されており、それらの発現は夜明けにピークをもつ。ウキクサ植物体においても同様の性質を示す。一方で、ウキクサカルスに導入すると、シロイヌナズナのCCA1プロモーターは全く発現活性を示さなかった。このことは植物体では同じ位相を生じさせる発現制御を受けるプロモーターがカルスにおいては、大きく異なる出力になっていることを示していた。 これらの結果からカルスにおける概日リズムの消失現象は、単純なホルモン応答ではないことを明らかにするとともに、リズム消失は時計関連の転写制御系が質的に異なっている可能性を示唆することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度においては、研究実績に述べた発光レポーター系を用いたカルスでの概日リズムの解析を実施項目とあげていたが、この点についてはかなり達成できた。それに加えて、時計関連遺伝子の発現解析も目標としていたが、これは達成できなかった。本研究ではカルス化に加えて、カルスからの再生時における、概日リズムの回復過程もターゲットとしているが、カルス化を再現よく行うことに大きな困難があったことに加えて、カルスからの再生を試みたものの成功には至っていない。研究実施の土台になるこれらの問題の対処に時間を費やしてしまい、その先の研究項目の達成がおくれてしまった。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、おおむね申請書の研究計画に沿って進めていく。特に、本年度の研究により、少なくとも夜明けに発現する遺伝子群の一部にカルス細胞で発現していないものがある可能性が強く示唆されたので、これらに属する時計遺伝子(候補)の発現を人為的に高めることで、カルス細胞でのリズムの再構成を試みる。また、レポーターの活性変動に加えて、実際の転写(mRNA蓄積)レベルを調査することで、カルス細胞内の時計関連遺伝子の発現変化を調査する。これらの解析結果に数理モデルを当てはめることで、リズムの再構成の理論的な骨組みを築いていく。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題は二年計画であり、基本的に上記の『今後の研究の推進方策』に沿って研究を進めていく。過剰発現プロモーター等による遺伝子発現レベルの人工的な制御は細胞ごとに大きなバラツキがあることが予想されることから、近年私の研究室で開発した単一細胞レベルでの生物発光モニター系を用いることで、細胞ごとの概日リズムの回復を観測する系を立ち上げることに特に傾注する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Characterization of cellular circadian oscillators in plants2012

    • 著者名/発表者名
      小山時隆
    • 学会等名
      第53回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2012年3月18日

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公開日: 2013-07-10  

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