研究課題/領域番号 |
23657035
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 慎吾 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10192626)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 葉緑体 |
研究概要 |
孔辺細胞外への陰イオン流出に必須の役割を果たすSLAC1を欠失することにより、暗黒でも気孔が閉じにくくなっているシロイヌナズナ遺伝子破壊株slac1(Negi et al. 2008, Vahisalu et al. 2008)を用いて、細胞間隙のCO2濃度が葉緑体の分布パターンに与える影響を解析した。異なる条件下に置いたロゼット葉を固定後、横断切片を作成し、葉肉細胞の横断面画像において、細胞壁を葉緑体と接している部分と接していない部分とに分割し(細胞壁から離れて存在する葉緑体はほとんど無い)、各々の長さを計測することにより葉緑体の分布パターンを定量化した。分布の傾向として、背軸側か向軸側か(Rab/Rad)、細胞間隙に沿うか隣の細胞に沿うか(Rair/Rcell)、上下面か側面か(Rperi/Ranti)の3つのパラメータを設定した。外気のCO2濃度を45 ppmもしくは1000 ppmに設定して植物を暗処理した。野生株では、3つのパラメータについて異なるCO2濃度での違いはなく、背軸側に分布する傾向は向軸側に対して3倍高く(= 葉緑体の暗黒位)、細胞間隙に沿う傾向は細胞に対して2倍高く、上下面と側面には均等に分布した(第5回アジア・オセアニア光生物学会議 2011で発表)。これに対して1000 ppm CO2で暗処理したslac1では、背軸側に分布する傾向が有意に低くなり、細胞間隙に沿う傾向が有意に高くなった。細胞間隙のCO2濃度が高くなったことにより、葉緑体が細胞間隙と接する場所へ移動したことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シロイヌナズナ遺伝子破壊株slac1を用いた実験系を立ち上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ガス交換システムにより、個葉レベルで細胞間隙のCO2濃度を測定し、葉緑体分布との関係を解析する。また、プロトプラストをゲルに埋め込む実験系においても、ゲルのCO2濃度を測定し、葉緑体の分布変化との関係を定量的に解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費は植物培養関連、顕微鏡関連の試薬・器具、論文別刷などの購入に、国内旅費は、研究成果発表(学会)および研究打合せ(東京大学など)のために、謝金は、大学院生による実験補助(植物材料の維持、データ整理など)のために使用する。
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