研究課題/領域番号 |
23657041
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
園池 公毅 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30226716)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | クロロフィル蛍光 / 光合成 / シアノバクテリア / 薬剤 / スクリーニング |
研究概要 |
本研究においては、近年急速に整備されている化合物(化学物質)ライブラリから生理活性のある薬剤をスクリーニングする新奇の方法を確立することを目的としている。スクリーニングに用いる生物材料として原核光合成生物であるシアノバクテリアを用い、生理作用をクロロフィル蛍光挙動としてモニターするという植物生理学的な手法を用いる。今年度は、まず、昨年度までに構築していたシアノバクテリアの蛍光挙動データベース(Fluorome)に、これまでに測定を重ねてきたシアノバクテリアのクロロフィル蛍光データを追加して登録し2011年10月にバージョン2として公開した。この結果、登録されたシアノバクテリアの遺伝子破壊株の数は、全ゲノムの遺伝子の23%強に相当するまで増やすことができた。データベースははFluoromeとして独自サイトからデータベースを公開(http://www.photosynthesis.jp/fluorome/)してきたが、今年度は4月に発足したJSTに拠点をおくバイオサイエンスデータベースセンターにも最新データを寄託し、そこから興味を持ったものが自由に全データをまとめてダウンロードすることを可能にした。化合物スクリーニングに関しては、現在野生型に阻害剤を加えた場合のクロロフィル蛍光データを取得中であり、現時点では公開していないこれらのデータも、今後も公開する予定である。来年度以降は、これらのデータベース解析により、化合物スクリーニングの可能性を探る予定としている。最終的には、「その化合物の多様な機能活性への影響の有無」と「その化合物の標的候補(遺伝子)」という異なる二つの情報を、一回の操作で明らかにする新しい考え方の薬剤スクリーニングシステムの構築を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの拡充は予定通り進行している。また、公開はしていないが、野生株に薬剤を添加した場合のクロロフィル蛍光挙動のデータも取得している。ただし、それらの解析によって実際に薬剤スクリーニングの系を確立することができるかどうかについては、今後の研究の進展に依存する。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、遺伝子破壊株のクロロフィル蛍光挙動データの取得を進めるともに、野生株に薬剤を添加した場合のクロロフィル蛍光挙動を幅広い範囲の薬剤について行なうことを目指している。現在は、遺伝子破壊株のみにとどめているデータベースの公開も、次年度には、薬剤添加データについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、消耗品として充当する予定である。
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