研究課題/領域番号 |
23657042
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
村田 隆 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 准教授 (00242024)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細胞骨格 / RNA / 顕微鏡観察 |
研究概要 |
動物や酵母においてはRNAが細胞骨格により運ばれ、細胞内の特定の領域で翻訳が起こることが知られている。本研究の目的は、植物細胞においてもRNAの細胞内輸送が起こっているかを検証することである。 本年度は顕微鏡システムの構築を主に行った。大部分のRNA分子が細胞質中に浮遊し、ごく一部だけが細胞骨格上に局在することを想定すると、浮遊型のRNA蛍光は除外し、細胞骨格結合型のRNAのみを可視化する必要があることに気付いた。そのため、現有の顕微鏡システムを組み換え、インジェクションに必要な全視野蛍光観察と局在観察に必要なディスク共焦点ユニットによる観察を1台の顕微鏡で行えるようにした。結果として構築したシステムは倒立顕微鏡本体にマイクロインジェクターおよび2台のカメラを接続し、1台にはディスク共焦点ユニットが装備されたものであった。 システムの評価のため、連携研究者の渡辺(東京大)により精製されたタバコモザイクウイルスの移行タンパク質(GFP融合型)をタバコ培養細胞に注入した。蛍光色素のみの試料は問題なく注入できたが、移行タンパク質は不溶性の沈殿を作ってしまい、注入することができなかった。また、ウイルスRNAの注入についてはプラスミド増幅の段階まで進めた。 一方、連携研究者の玉田、長谷部(基生研)により、ヒメツリガネゴケRNA結合タンパク質PpCSPの細胞骨格上の局在の検討も進めている。GFP融合タンパク質の局在をRFPチューブリン発現株で比較したところ、フラグモプラストに局在するものの、間期の微小管上の局在はないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に研究計画を記載後、現有の顕微鏡システムでは観察困難な可能性に気付き、顕微鏡システムの再構築を行った。結果として、標識RNAの合成まで研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度途中にRNAを蛍光標識する新規プローブSpinachがScience誌に報告された。このプローブはGFP同様に遺伝子導入により細胞内で発現することができるため、顕微注入が不要なのがメリットである。しかしながら、植物細胞における適用性については全く未知である。今後は、直接標識法に加え、新規プローブSpinachの適用も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
顕微鏡の再構築に伴い、当初計上していたマイクロマニピュレーターの購入が不要となったこと、技術支援員の雇用が遅れたことから、次年度使用額が生じた。この使用額は新規プローブSpinachの検討のために用いる。
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