研究課題
ストライガやオロバンキなどの寄生雑草による農業被害はアフリカや中近東を中心に年々増加している。しかし、植物寄生のメカニズムはまだほとんど解明されておらず、その根本的な防除法は確立していない。本研究の目的は、日本に自生する条件的寄生植物コシオガマをモデル実験系として用いて、寄生植物の寄生の分子メカニズムを包括的に理解することである。特に、寄生植物の吸器形成から寄生成立に至る過程に関わる寄生植物因子の性質を、変異体を用いた遺伝学的解析により明らかにすることを目指す。本研究では、コシオガマ野生型株にEMS(Ethylmethane Sulphonate)処理をおこない、変異体種子プールをスクリーニングして吸器形成および侵入に異常をきたす変異体をスクリーニングした。スクリーニングにはDMBQを用いて吸器誘導におけるスクリーニングと、リゾトロンを用いた宿主侵入におけるスクリーニングを2段階でおこなった。その結果、吸器毛形成の変異体および吸器形状変異体が複数ライン単離された。遺伝学的な解析の結果、吸器毛形成変異体は根毛形成のコントロールに関わる劣勢一遺伝子座において支配されていることが明らかとなった。吸器形状変異体は、吸器の伸長や吸器内の導管形成に異常が見られることが明らかになった。これら変異体の原因遺伝子の単離を目指して、コシオガマの遺伝マーカーの作成をおこなった。 SSR(Simple Sequence Repeats)マーカーは多型の検出には非常に優れており、現在数あるマーカーの中で最も簡便で頻繁に使われている。コシオガマのEST配列からSSRを検出し、コシオガマのエコタイプ間での多型をPCRにより検出する方法を確立した。また、日本の各地域からコシオガマの種子を採取し、エコタイプ間での多型の頻度を計算し、マッピング親株の選定をおこなった。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)
Plant Cell
巻: 24 ページ: 1691-1707
Curr. Opin. Plant Biol.
巻: 15 ページ: 708-713
10.1016/j.pbi.2012.07.004.
New Phytologist
巻: 196 ページ: 1208-1216
10.1111/j.1469-8137.2012.04339.x.