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2011 年度 実施状況報告書

左右相称花の姿勢を制御する「重力捻性」への形態学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 23657048
研究機関奈良女子大学

研究代表者

坂口 修一  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (20221997)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード捻れ成長 / 重力応答 / 左右相称花 / 微小管 / 植物 / 生理学 / 園芸学 / 宇宙生物学
研究概要

本研究課題では、コチョウランの花が重力方向に花の左右相称軸が定位するよう花柄を捻る現象の形態額的解析を主たる目的としている。この現象は植物体の生理状態に敏感なため、再現性の高い結果を得るために、栽培業者から購入した苗を1ヶ月程度実験室内で実験条件に慣らすための栽培設備の整備をまずおこなった。このために温度制御下の栽培室に低発熱型の蛍光灯照明装置を装備した栽培棚を設置した。これにより、業者からの購入と自家栽培を組み合わせ、安定的に開花期の実験材料を確保できる体制を整えることができたと考えている。今後、こうして準備した実験材料を用いて捻れ現象に関する定量的観察を進めるとともに、重りの負荷実験等の実験的アプローチも進めてゆく予定である。ところで、器官の捻れは、器官表層の細胞の表層微小管の向きにより制御されている例が、シロイヌナズナで報告されているが、コチョウランの花柄の捻れが起こる際にも、微小管の向きが関与している可能性について、蛍光抗体法により花柄表皮全体の微小管を染色して検討した(購入物品の画像タイリングシステムを使用)。その結果、花柄の捻れに対応するような微小管の向きの変化を見いだすことはできなかった。このことは、コチョウランの花柄の捻れ成長は、表皮の微小管の傾きでは説明できず、別のなんらかのメカニズムを捻れ成長の原因として考えなければならないことを示している。また、コチョウランの花柄は、花茎から切り離しても捻れ運動を行うことが本研究で明らかになった。切断した花柄から薬剤を投与することにより、植物体に効果的に薬剤を摂取させられることがわかったので、微小管関連、オーキシン関連など各種の阻害剤の作用を評価することで、本現象の機構解明に役立てられることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

栽培室の整備など、研究にとって基盤的な部分は計画通り遂行できている。当初の実験計画で予定していた、現象の定量的観察などは後回しになっているが、その分、次年度以降予定している薬剤処理実験の予備実験を前倒しして進めるなど、全体としては、順調に計画が進展している。

今後の研究の推進方策

コチョウランを中心に主に現象論的な解析を進め、「重力捻性」の概念の確立につとめるとともに、捻れ現象を引き起こす分子的機構に関する糸口の解明を阻害剤実験などを通じて狙う。材料のコチョウランの購入に経費の大部分を割く予定である。さらに、コチョウラン以外の植物を利用して「重力捻性」の概念の一般化をめざすとともに、突然変異体の利用が可能な種も積極的に考慮する。また、国内外での学会で他の研究者との意見交換を通して、研究の深化・拡大を目指すため、旅費を支出する。また、最終年度までに投稿論文執筆および成果報告書とりまとめのための予算を要する。

次年度の研究費の使用計画

初年度において、大規模栽培設備の設置をとりやめた。その影響で、実験植物の一括購入を止め、少数ずつ購入するなど、実験方法に若干の変更を生じ、24年度は未使用額が発生した。次年度以降は初年度に安価な幼苗を一括購しなかった分、開花間近なコチョウランの高価な大型株を継続的に購入しなければならないため、初年度分に配分され未使用となっている予算をこれに充当する。このほかに園芸用品や阻害剤、顕微鏡観察用品等の通常の消耗品を要する。また、成果発表(国内)のため旅費を要する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] コチョウラン花柄のねじれ運動と微小管との関係について2011

    • 著者名/発表者名
      福田有希, 坂口修一
    • 学会等名
      日本植物形態学会
    • 発表場所
      日本女子大学(東京都)
    • 年月日
      2011年9月16日

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公開日: 2013-07-10  

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