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2012 年度 実施状況報告書

概日リズムを指標とした脳神経回路の老化評価システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23657056
研究機関岡山大学

研究代表者

富岡 憲治  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30136163)

研究分担者 吉井 大志  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50611357)
キーワード概日時計 / 老化 / ショジョウバエ / 時計ニューロン / 神経回路
研究概要

1.加齢による行動リズム変化:明暗への同調性を羽化直後、羽化後30日、40日の個体で、明暗周期を6時間前進、後退後に再同調に要する日数を調べることにより検討した。前進、後退ともに加齢により移行期が有意に延長したことから、光同調性が加齢により低下することが示唆された。
2.加齢による行動リズムの温度周期への同調性を羽化直後、羽化後30日、40日の個体で、温度周期を6時間前進、後退後に再同調に要する日数を調べることにより検討した。前進、後退ともに加齢バエでの移行期が有意に短縮したことから、光同調性とは異なり、温度への応答は加齢により増強されることが示唆された。
3.時計振動機構の時計遺伝子mRNA発現リズムを羽化後10日と30日で比較したところ、加齢に伴い時計遺伝子発現リズムの振幅が低下することが明らかになった。
4.加齢に関わる突然変異系統chico1, fmr1Δ50Mを用いて、明暗条件下および恒暗条件下でのリズムを解析した。寿命が延長するchico1では、明暗周期下での活動リズムが羽化後40日の加齢バエでも若齢バエに典型的な明瞭な双峰性リズムを示した。一方、逆に 寿命が短縮するfmr1Δ50M では、活動リズムが不明瞭となった。これらの結果から、寿命と時計機構の老化とが密接に関係し、時計機構の加齢変化が老化の指標となりうることが示唆された。
5.一方、chicoをpdf発現細胞でのみノックダウンし、時計細胞の老化と活動リズムとの関係を検討した。予備的結果ではあるが、加齢バエでもきわめて明瞭な双峰性リズムを維持しており、時計細胞そのものの加齢が活動リズムに反映される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画した項目それぞれについて、研究を進展させ、十分な結果を得ている。行動リズムの同調性は加齢に伴い、明暗周期に対しては低下するが温度周期については増強することを示した。寿命と時計の加齢との関係については、寿命が延長するchico1では、明暗周期下での活動リズムが羽化後40日の加齢バエでも若齢バエに典型的な明瞭な双峰性リズムを示すこと、逆に 寿命が短縮するfmr1Δ50M では、活動リズムが不明瞭となることを示し、寿命と時計機構の老化とが密接に関係し、時計機構の加齢変化が老化の指標となりうることを示した。一方、予備的結果ではあるが、chicoをpdf発現時計細胞でのみノックダウンすると、加齢バエでもきわめて明瞭な双峰性リズムを維持することから、時計細胞そのものの加齢が活動リズムに反映される可能性を示した点は極めて重要である。現在、これらのハエでPDF細胞の形態とPDF発現レベルの検討を進めている。以上より、ほぼ研究計画は順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

当初の計画に即して研究を推進する予定である。まず、本年度の継続として、寿命が延長するchico1および 寿命が短縮するfmr1Δ50M で、PDF細胞の形態とPDF発現レベルを検討し、行動リズムの加齢とPDFニューロンの形態・機能との関連を検討する。また、pdf発現細胞を対象として時計機能を低下させ、その活動リズムの加齢変化を検討し、pdf発現細胞の時計機能と加齢との関係の解析を進めることで、行動リズムの加齢が特定のニューロンに帰結できるかどうかを明らかにすることを目指す。

次年度の研究費の使用計画

今年度予定しているPDFの免疫染色に必要な抗体類、試薬等に充当する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Pigment-dispersing factor is involved in age-dependent rhythm changes in Drosophila melanogaster.2012

    • 著者名/発表者名
      Umezaki, Yujiro
    • 雑誌名

      Journal of Biological Rhythms

      巻: 27 ページ: 423 - 432

    • DOI

      10.1177/0748730412462206

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Peripheral circadian rhythms and their regulatory mechanism in insects and some other arthropods: a review.2012

    • 著者名/発表者名
      Tomioka, Kenji
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Physiology B

      巻: 182 ページ: 729-740

    • DOI

      10.1007/s00360-012-0651-1

    • 査読あり
  • [学会発表] キイロショウジョウバエ雌雄ペア時の活動リズム変調機構2012

    • 著者名/発表者名
      花房志帆
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      20120913-20120913
  • [学会発表] キイロショウジョウバエ活動リズムの加齢変化へのPDFの関与2012

    • 著者名/発表者名
      梅崎勇次郎
    • 学会等名
      日本動物学会中国四国支部大会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      20120513-20120513
  • [図書] 化学同人2012

    • 著者名/発表者名
      富岡憲治
    • 総ページ数
      133-144.
    • 出版者
      海老原史樹史、吉村崇編、時間生物学、PartIII無脊椎動物の概日リズム 10章 生理機構

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公開日: 2014-07-24  

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