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2011 年度 実施状況報告書

視床下部で新たに発見した神経ペプチドの受容体探索

研究課題

研究課題/領域番号 23657057
研究機関広島大学

研究代表者

浮穴 和義  広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (10304370)

研究分担者 斎藤 祐見子  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (00215568)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード受容体 / 神経ペプチド / 内因性リガンド / 培養細胞
研究概要

我々は、脊椎動物の間脳視床下部領域に特異的に発現している神経ペプチドの前駆体遺伝子である新規遺伝子を最近発見している。さらに、絶食や肥満などのエネルギー代謝状態に応じてmRNA発現が変動することを見出しており、新規摂食調節関連遺伝子と捉えている。さらに、神経ペプチドの脳室内投与により摂食行動を調節する効果があるというデータを得ている。この神経ペプチドの生理機能の全容を明らかにするためには、受容体の同定が必要不可欠である。そこで本研究では新規神経ペプチドの受容体をオーファン受容体に着目して同定することを目的としている。 本年度は、新規遺伝子にコードされている神経ペプチドが、オーファン受容体のボンベシン受容体サブタイプ3(BRS-3)の内因性リガンドではないかと予測し、その可能性を検証した。BRS-3を恒常的に発現している培養細胞を用い、神経ペプチドを作用させた際の細胞内カルシウムイオン濃度変化を指標に受容体応答能を解析した。しかしながら、新規神経ペプチドを10μMの濃度で作用させても細胞内カルシウムイオン濃度の変化は認められなかった。この結果から、BRS-3は新規神経ペプチドの受容体ではないことが示された。 受容体探索のために、新規神経ペプチド含有神経細胞の神経終末の投射先を免疫組織化学的手法により解析した。その結果、マウスの視床下部内の限局した神経核に新規神経ペプチド様免疫陽性線維が密に投射していることが明らかになった。今後は、この領域の神経細胞を用いて新規神経ペプチドの応答を解析していく予定でいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ボンベシン受容体サブタイプ3(BRS-3)はエネルギーホメオスタシスに関与する重要な受容体であるが、内因性リガンドが不明であり、製薬会社を含めた世界中の研究機関において内因性リガンドの探索が試みられている。我々が視床下部領域から発見した新規遺伝子は様々なエネルギー代謝状態でmRNA発現量が変動し、さらに新規神経ペプチドを用いた行動薬理学的解析から摂食行動や体重調節に関与している結果を得ている。これらの先行研究から、我々が発見した新規神経ペプチドの受容体がBRS-3でないかと予測したが、その予測は残念ながら外れたと思われる。本研究課題は新規神経ペプチドの受容体探索という挑戦的萌芽研究であるために、この結果もいたしかたないと考えている。しかしながら、本年度の研究では、新規神経ペプチド産生細胞の投射先が明らかになったことから、受容体同定の端緒となる基礎的知見を得られたと考えている。

今後の研究の推進方策

本年度の解析により、新規神経ペプチド産生細胞の投射先が視床下部内の限局した神経核であることが明らかになった。今後は、さらに新規神経ペプチドを用い脳室内投与し、最初期遺伝子であり、神経活動マーカーであるc-Fos発現を指標にして標的細胞を解析する。この解析により、新規神経ペプチドの受容体の発現部位が明らかになると考えている。また、急性視床下部スライスを用いて新規神経ペプチドをin vitroで投与し、神経活動へ及ぼす変化を解析することで受容体探索に繋げる研究を展開する。 さらに、昨年度の研究開始時の研究計画ではBRS-3に着目して本年度も解析を進める計画でいたが、別のオーファン受容体を用いて受容体探索を行う研究に切り替える。

次年度の研究費の使用計画

主に消耗品費に充てる。実験動物や飼料費、ペプチド合成用試薬、形態解析用試薬、細胞内シグナル伝達解析用試薬、電気生理学用の消耗品費として使用する。さらに、得られた成果を学会発表により公表するための旅費にも一部充てる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Identification, expression, and physiological functions of Siberian hamster gonadotropin-inhibitory hormone.2012

    • 著者名/発表者名
      Ubuka T
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 153 ページ: 373-385

    • DOI

      doi: 10.1210/en.2011-1110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 日本における生理活性ペプチド研究の流れとその展開2011

    • 著者名/発表者名
      児島将康、斎藤祐見子
    • 雑誌名

      実験医学増刊号「代謝・内分泌ネットワークと医薬応用」

      巻: 29 ページ: 14-22

  • [雑誌論文] 新規生理活性ペプチドの探索方法の進歩2011

    • 著者名/発表者名
      斎藤祐見子、児島将康
    • 雑誌名

      実験医学増刊号「代謝・内分泌ネットワークと医薬応用」

      巻: 29 ページ: 80-85

  • [雑誌論文] Identification and structure-activity relationship of an antimicrobial peptide of the palustrin-2 family isolated from the skin of the endangered frog Odorrana ishikawae.2011

    • 著者名/発表者名
      Iwakoshi-Ukena E, Okada G, Okimoto A, Fujii T, Sumida M, Ukena K
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 32 ページ: 2052-2057

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification and characterization of antimicrobial peptides from the skin of the endangered frog Odorrana ishikawae.2011

    • 著者名/発表者名
      Iwakoshi-Ukena E, Ukena K, Okimoto A, Soga M, Okada G, Sano N, Fujii T, Sugawara Y, Sumida M
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 32 ページ: 670-676

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of novel antimicrobial peptides from the skin of the endangered frog Odorrana ishikawae by shotgun cDNA cloning.2011

    • 著者名/発表者名
      Iwakoshi-Ukena E
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 412 ページ: 673-677

    • DOI

      doi.: 10.1016/j.bbrc.2011.08.023

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification, localisation and functional implication of 26RFa orthologue peptide in the brain of zebra finch (Taeniopygia guttata).2011

    • 著者名/発表者名
      Tobari Y
    • 雑誌名

      J. Neuroendocrinol.

      巻: 23 ページ: 791-803

    • DOI

      doi: 10.1111/j.1365-2826.2011.02179.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] 鳥類の視床下部漏斗部で発見した新規遺伝子の機能解析―摂食調節機構に着目して―2011

    • 著者名/発表者名
      浮穴和義
    • 学会等名
      第38回日本神経内分泌学会学術集会(招待講演)
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2011年11月26日
  • [産業財産権] ポリペプチド、ポリペプチドの製造方法、摂食調節組成物および摂食量の調節方法2011

    • 発明者名
      浮穴和義
    • 権利者名
      浮穴和義
    • 産業財産権番号
      特許: 特願2011-248006
    • 出願年月日
      2011年11月11日

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公開日: 2013-07-10  

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