研究課題
我々は、脊椎動物の間脳視床下部領域に特異的に発現している神経ペプチドの前駆体遺伝子である新規遺伝子を最近発見している。さらに、絶食や肥満などのエネルギー代謝状態に応じてmRNA発現が変動することを見出しており、新規摂食調節関連遺伝子と捉えている。さらに、神経ペプチドの脳室内投与により摂食行動を調節する効果があるというデータを得ている。この神経ペプチドの生理機能の全容を明らかにするためには、受容体の同定が必要不可欠である。そこで本研究では新規神経ペプチドの受容体をオーファン受容体に着目して同定することを目的としている。昨年度は、新規遺伝子にコードされている神経ペプチドが、オーファン受容体のボンベシン受容体サブタイプ3(BRS-3)の内因性リガンドではないかと予測し、その可能性を検証した。BRS-3を恒常的に発現している培養細胞を用い、神経ペプチドを作用させた際の細胞内カルシウムイオン濃度変化を指標に受容体応答能を解析した。しかしながら、新規神経ペプチドを10μMの濃度で作用させても細胞内カルシウムイオン濃度の変化は認められなかった。この結果から、BRS-3は新規神経ペプチドの受容体ではないことが示された。本年度は、別のオーファン受容体に対する効果を解析する研究を行った。ペプチド性リガンドと考えられるオーファン受容体を定常的に発現した哺乳類細胞を立ち上げた。本年度中に8種類のオーファン受容体発現細胞を用い、新規神経ペプチドを作用させ、細胞内カルシウムイオン濃度の変化を解析した。しかしながら、8種類の受容体全てにおいて有意な反応は認められなかった。以上の解析から、現時点では新規神経ペプチドに対する受容体の同定には至らなかった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件)
General and Comparative Endocrinology
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