ミツバチは巣内で尻振りダンスを踊り、ダンスに含まれている距離と方向の情報を伝達しあっている。この「ダンス言語仮説」は研究者の間ではほぼ事実として認められているが、本研究では、この仮説に疑問を持ち、ダンスに含まれる情報が伝達されていないことを示すデータ採取を模索している。 収穫ダンスを観察する巣箱と、距離を伸ばしていく餌場を設置する実験場は、従来通り兵庫県立人と自然の博物館のジーンファームを予定していたが、23年度に入ってすぐに使用不可となり、23年度は新しい実験場の探索・検討を余儀なくされた。24年度も前半はその影響を受け、なかなか計画した実験に入ることができなかった。 24年度の3~5月は二郎イチゴ農家のビニールハウスを借りることが出来たので、16箇所の餌場にビデオ撮影装置を設置したりしながら、より適切な実験場を探ってみた。幸い、神戸大学工学部の地下に未使用のトンネルがあることを突き止め、1年間借用が認められたので、ビデオ撮影装置をビニールハウスから地下トンネルに移動し、個体マーク(背番号の貼り付け)のついた働きバチを観察巣箱に導入した。 23年度はビルの一室という閉鎖空間でセイヨウミツバチを半年間、飼養が可能だったので、それを予備実験とみなして、地下トンネルではすぐに観察巣箱を設置したが、トンネル内の照明にミツバチたちはうまく飛翔することができず、出て行った個体は観察巣箱に戻ることが出来なかった。各餌場に設置している豆球のワット数をいろいろ変えてみたが、通常の実験が出来る環境には程遠いことがわかった。
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