日本列島では、第四紀以降も激しい地殻変動が生じており、活発な山岳形成が継続している。この列島に棲息する生物たちも大きな影響を受けている。造山活動に伴う集団間の交流の分断や、山塊ごとの遺伝的分化など、世界レベルでも検出が困難な地史的イベントと生物集団の遺伝構造の比較研究に適した地域である。しかし、これらの関係性を詳細に示した研究は少ない。 本研究では、河川源流域に適応して棲息する水生昆虫類に焦点を当て、個体群構造と遺伝構造の比較を行った。結果、山脈による遺伝的分化や、山塊ごとの遺伝的分化などの明確な事例を蓄積させることができた。加えて、ユニークな系統地理学的成果を論文として公表することができた。
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