研究課題/領域番号 |
23657066
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河原 太八 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20115827)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | SINE 配列 / Au ファミリー / 植物系統分類 / レトロエレメント / 植物進化 |
研究概要 |
予定通り,シダ植物約30種,被子植物約40種,イネ科を主体とした単子葉のグループから約30種,マメ科の広範囲な属から約20種,合計でおよそ120種のDNAを抽出した。またその一部について,PCRベースでSINE配列があるかどうかの検討を加えた。2組のプライマーセットを使うことにより,複数の種で増幅が見られたため,この手法が様々な種で応用可能なことを確認した。塩基配列の決定については,当初の予定を変更したためまだである。 予定を変更し,DDBJなどのデータベースを利用したBLAST検索を先に行ったところ,予想以上に多くのSINE類似配列を得ることが出来た。合計約20種に存在し,またEphedra /Glysine タイプの短い配列と,Medicago型の長い配列の両方が存在した。得られたデータと従来のデータをあわせて,仮の系統樹を描いたところ,その2つのタイプがそれぞれ独立に進化した可能性が大きいことが,明らかとなった。 なお経済的にも重要な,イネ科・ナス科・マメ科では複数の種にSINE配列の存在することが明らかとなり,これらのグループでは,SINEを利用した系統解析が有効であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物における分子生物学的研究が予想以上に早く進展しているため,当初の予定を変更し,DDBJなどを利用しBLASTによって既知の配列の検索を行うことに,まず力を入れた。これによって,予想以上多くの植物種にSINE類似配列があることが分かり,アラインメントを行い,仮の分析をおこなったところである。 このためラボでの実験がやや遅れているが,生植物からのDNA抽出については予定通り進行し目標の約120種を越え,その一部ではPCRベースでのSINEの検出を開始している。そのため全体としては,おおむね当初の予定通り進行すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,PCRベースでSINE配列を増幅し,ダイレクトシークエンスを行う。 また必要な場合は,塩基配列を読み取るため,クローニングを併用する。また可能な限り,サザンブロッティングによるコピー数の推定を行う。なお塩基配列の決定は外注することを予定しており,試料が一定量に達したら順次発注する予定である。 新規に得られたSINE配列について,アラインメントを行い種ごとのコンセンサス配列を決定する。BLASTによって既知の塩基配列中にも多くのSINEが含まれていることが分かったので,それらを含めて植物界全体でのAu SINEの系統関係を明らかにする。またどのようなグループでこれを使った解析が有効か,さらに検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PCRベースでの実験に必要な機材・器具は揃っており,実験に必要な薬品などの消耗品を購入すれば研究が進行する。 塩基配列の決定ついては,現在では外注することがコスト面で有利なため,そのための経費(その他に分類される)が支出のほとんどを占めることが予想される。
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