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2011 年度 実施状況報告書

超高速シークエンサーで切り拓く陸域地下生物圏の多様性とレアバイオスフィア

研究課題

研究課題/領域番号 23657069
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

玉木 秀幸  独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (00421842)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード陸域地下圏 / 微生物生態 / 未知系統群 / 次世代シークエンス / パイロシークエンス / 16S rRNA遺伝子 / レアバイオスフィア / 生物多様性
研究概要

本研究は、次世代シークエンス技術を最大限活用し、地球最大の未開拓微生物生命圏である陸域地下圏に棲息する地下微生物の多様性を明らかにするとともに、これまで全く解析対象とされてこなかったレアバイオスフィア(稀少生物圏)の存在とその多様性を明らかにすることを目的としている。本年度は実際に複数の陸域地下圏試料を採取して全核酸抽出を行い、最適化したプロトコルに従って、16S rRNA遺伝子をPCR増幅し、454 パイロシークエンサーにより塩基配列解読を行い、高解像度微生物群集構造解析を実施した。まず、氷河堆積物層水を対象とした解析では、鉄還元細菌、硫酸還元菌、嫌気共生細菌やメタン生成古細菌等の無酸素環境下において重要な地球化学的プロセスを担う機能微生物集団の存在を明らかにするとともに、門レベルや綱レベルという、系統学的に極めて新規性の高い未知・未培養系統群を発見することに成功した。また、それらの中には、通常のクローン解析では検出できないが、今回のように超高速シークエンサーを活用して大量の16S rRNA遺伝子配列情報を入手したことによってはじめて発見できたような未知系統群も含まれており、レアバイオスフィアを対象とした微生物生態系解析の重要性を示唆している。また泥炭堆積物や氷河堆積物を対象とした解析でも、多数の未知・未培養系統群を検出するとともに、それらのいくつかは陸域地下圏の堆積物環境で優占している可能性が示された。このように、本研究を通じて、これまで未開拓微生物生命圏となっていた陸域地下環境において、その多様性と群集構造の実態解明が着実に進んできており、これらの基盤情報は、将来的に地下圏に存在する未知系統群の新生物機能の解明に向けて有力な手がかりを提供すするとともに、地球環境変動や化石エネルギーの持続的利用に関わる地下圏微生物生態系の全容解明に資する知見として重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、国内外の様々な陸域地下環境サンプルを採取するとともに、次世代シークエンス技術を活用した高解像度微生物生態系解析プロトコルを最適化し、実際の地下圏環境中の未開拓微生物群集の多様性と群集構造解析を実施してきており、無酸素環境下において重要な地球化学プロセスを担う機能微生物集団の存在を明らかにするとともに、レアバイオスフィアの解析を通じて数々の未知・未培養系統群の存在を明らかにするなど、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今年度の研究成果によって、陸域地下微生物生命圏を高解像度に解析する意義を明確にできたことから、今後は、解析する陸域地下環境のサンプル数を増やすことで、陸域地下微生物生態系の全容解明に資することを目指す。特に、環境因子と陸域地下微生物コミュニティーの比較解析を通じて、地球環境変動に関わる重要な地球化学プロセスを担う機能微生物集団の解析につなげてゆきたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

今年度は自己資金等の活用により、陸域地下試料に採取にかかる費用が削減できたが、次年度はさらに多くの陸域地下圏試料採取の必要性が見込まれたことから、次年度に使用する予定の研究費を確保した。また、次年度はさらに多くの試料について、次世代シークエンス技術により高解像度微生物群集構造解析を実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Analysis of 16S rRNA amplicon sequencing options on the Roche/454 next-generation titanium sequencing platform2011

    • 著者名/発表者名
      Tamaki H, et al.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: e25263

    • DOI

      doi:10.1371/journal.pone.0025263

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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