研究課題/領域番号 |
23657070
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石森 浩一郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20192487)
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研究分担者 |
内田 毅 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30343742)
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キーワード | セグメントラベル / 多次元NMR / 蛋白質複合体 / 蛋白質間相互作用 / 安定同位体ラベル |
研究概要 |
本年度も前年度に引き続き,セグメント安定同位体ラベル法の確立と蛋白質複合体への応用の可能性,および先端的NMR測定手法の測定条件の最適化を検討し,その知見を用いてTCS法を用いた高分子蛋白質複合体における相互作用部位の決定を試みた. 1.セグメント安定同位体ラベル法の確立 転写因子Irrについては,昨年度に大腸菌による再現性の良い発現,精製方法を確立することができたものの,その機能解析の結果から,標的DNAへの親和性が低いことが示された.精製過程におけるMnイオンの添加により親和性が向上することが明らかになったので,このような精製方法によるIrrを用いてセグメント化,安定同位体化が進行中である.一方,シトクロム酸化酵素CcOについては,光合成細菌由来のCcOを用いたセグメント化,安定同位体化の条件を検討しているが,十分量の試料を得るための条件は決定することができておらず,更なる条件検討が必要である. 2.先端的NMR測定手法の測定条件の最適化 高分子量蛋白質複合体における相互作用を解明するための先端的NMR測定手法について,測定条件の最適化を行ない,その一例としてTCS法を用いた高分子蛋白質複合体における相互作用部位の決定を行った.このTCS測定については,重水素化したシトクロムcと非ラベルのウシ由来CcOを用いて行い,電子伝達複合体形成の際にCcOと直接相互作用するCyt cの領域を決定することに成功した.今回決定できた直接的な相互作用部位は,以前に本研究者らが化学シフト摂動法により決定した領域よりもはるかに狭く,Cytc-CcO電子伝達複合体では,ごく少数の相互作用によりその複合体構造が維持されることが明らかになった.さらにCcO側の相互作用部位を決定するため,光合成細菌由来のCcOをセグメント化安定同位ラベルして検討を進めている.
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