研究課題
光合成や呼吸に関与するタンパク質の多くには、補因子として複数の金属原子が含まれていて、機能発現において中心的な役割を担っている。同じ種類の元素が複数含まれる場合であってもそれぞれ異なる酸化還元状態をとる可能性がさまざまなタンパク質について指摘されている。したがって、金属原子の酸化還元状態を知ることは機能発現機構を解明するためには重要である。ところが、タンパク質のX線結晶構造解析からは酸化還元状態についての直接的な情報は得ることができない。そこで本研究では、金属原子を含むタンパク質の結晶を研究材料にして、精度よく原子ごとの酸化還元状態を決定する方法の確立を目的として研究を行っている。平成24年度に実施した研究の成果として、4Fe-4S型の鉄イオウクラスターを持つタンパク質の結晶を使用して収集した回折データの解析に関し、データセット間のスケーリング方法や、異常分散差フーリエ図の作成方法、プロット方法を検討したことが挙げられる。異常分散ピークを酸化型と還元型の両方のデータについて比較することで、鉄原子ごとの性質を明らかにすることができた。また、2Fe-2S型の鉄イオウクラスターを持つタンパク質に適用するために、好熱性シアノバクテリア由来のRieskeタンパク質について結晶を作製し、高分解能回折データの収集と構造解析を行った。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Acta cryst.
巻: D68 ページ: 1400-1408
10.1107/S0907444912034129