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2011 年度 実施状況報告書

真核細胞プロテアソームの試験管内再構成

研究課題

研究課題/領域番号 23657080
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

水島 恒裕  兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (90362269)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードプロテアソーム / 超分子複合体 / シャペロン / X線結晶構造解析 / 構造生物学
研究概要

26Sプロテアソームを構成する20Sプロテアソームは14種類(α1-α7, β1-β7)、28個のサブユニットが複合体を形成することにより、機能を獲得している。この複合体形成過程には複数の専用シャペロンが関わっていることから、これら専用シャペロンを利用することにより試験管内において20Sプロテアソームαリング(α1-α7)の再構成を行った。20Sプロテアソームは可溶性タグ融合状態で精製した。この時、α6サブユニットは不溶性となったことから、FATTタグ融合タンパク質として精製を行った。また、20Sプロテアソーム複合体形成に関わる専用シャペロンとしてPba1-Pba2複合体、Pba3-Pba4複合体を大腸菌発現系より精製した。 精製した各構成サブユニットおよび専用シャペロンのゲルろ過クロマトグラフィーを行い、単独状態における分子状態、凝集性を確認した。その結果、サブユニット単独状態ではα4、α7は多量体、α5はホモ二量体を形成していることが明らかとなった。α5は専用シャペロンPba3-Pba4複合体が共存することによりα5- Pba3-Pba4のヘテロ三量体を形成した。また、α1-α7の7種類のサブユニットのみで行ったゲルろ過クロマトグラフィーではほとんどのサブユニットが単独状態で行ったゲルろ過クロマトグラフィーと同様の時間で溶出されαリングの形成は確認できなかった。次にα1-α7の7サブユニットにPba1-Pba2複合体、Pba3-Pba4複合体を加えてゲルろ過クロマトグラフィーを行った。しかし、これら専用シャペロンの共存状態においてもαリングの形成は確認できず、一部のサブユニットとシャペロンの複合体による中間体状態のみが観測できた。このことから、αリング中間体は不安定であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酵母20Sプロテアソームおよび専用シャペロンの大腸菌発現系構築が完了し、それらを用いた試験管内構築を行った。さらにゲルろ過クロマトグラフィーによりαリング形成中間体の分離を行い、中間体を形成するサブユニットの解析を行った。これらの成果は当初計画通りである。

今後の研究の推進方策

試験管内におけるプロテアソームαリング構築研究より、αサブユニットと専用シャペロンのみで形成されるαリングは不安定であることが示唆された。そのため、βサブユニット、βリング形成シャペロン(Ump1)を加えた試験管内複合体再構築を行う。本実験により7種類のβサブユニット中、αリングの形成に関わるβサブユニットを特定する。また、βサブユニット存在状態において形成される中間体の解析を行い、より詳細な複合体形成機構の解析を行う。さらに、αリング形成に必要な専用シャペロンが他に存在するか探索を行う。

次年度の研究費の使用計画

24年度の研究計画では、20Sプロテアソームを形成する全14種類のサブユニットを用いて再構成実験を行う。そのため、各サブユニットタンパク質の培養、精製に使用する試薬を購入する。また、研究成果を学会発表するための旅費を申請する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Structural basis for specific recognition of Rpt1, an ATPase subunit of the 26S proteasome, by a proteasome-dedicated chaperone Hsm32012

    • 著者名/発表者名
      Takagi K., Kim S., Yukii H., Ueno M., Morishita R., Endo Y., Kato K., Tanaka K., Saeki Y. and Mizushima T.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem

      巻: 287 ページ: 12172-12182

    • DOI

      10.1074/jbc.P112.345876

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The proteasome: molecular machinery and pathophysiological roles2012

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, K., Mizushima, T., Saeki, Y
    • 雑誌名

      Biol. Chem

      巻: 393 ページ: 217-234

    • DOI

      10.1074/jbc.P112.345876

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 構造からみるプロテアソームの機能2011

    • 著者名/発表者名
      水島恒裕、西尾和也
    • 雑誌名

      実験医学 増刊

      巻: 29 ページ: 1875-1881

  • [学会発表] Studies of the structure and molecular mechanisms of the proteasome assembly2012

    • 著者名/発表者名
      Tsunehiro Mizushima
    • 学会等名
      The Annual Review Conference of the Global COE program of University of Hyogo
    • 発表場所
      兵庫県立先端科学技術支援センター (兵庫)
    • 年月日
      2012年2月13日
  • [学会発表] ユビキチン-プロテアソーム経路による特異的なタンパク質分解機構2011

    • 著者名/発表者名
      水島恒裕
    • 学会等名
      グローバルCOEプログラム生命科学若手研究者発表会
    • 発表場所
      兵庫県立先端科学技術支援センター (兵庫)
    • 年月日
      2011年6月30日
  • [学会発表] プロテアソーム複合体形成における専用シャペロンの構造と役割2011

    • 著者名/発表者名
      高木賢治
    • 学会等名
      グローバルCOEプログラム生命科学若手研究者発表会
    • 発表場所
      兵庫県立先端科学技術支援センター (兵庫)
    • 年月日
      2011年6月30日
  • [学会発表] プロテアソーム分子集合シャペロンRpn14 E384A変異体の結晶構造解析2011

    • 著者名/発表者名
      水島恒裕、金相佑、西出旭、佐伯泰、田中啓二、加藤晃一
    • 学会等名
      平成23年度 日本結晶学会 年会
    • 発表場所
      北海道大学 学術交流会館 (北海道)
    • 年月日
      2011年11月24日
  • [学会発表] プロテアソーム19S制御複合体の分子集合を支援する新規シャペロンHsm3の構造とメカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      高木賢治、金相佑、佐伯泰、田中啓二、加藤晃一、水島恒裕
    • 学会等名
      平成23年度 日本結晶学会 年会
    • 発表場所
      北海道大学 学術交流会館 (北海道)
    • 年月日
      2011年11月24日
  • [学会発表] 不要なタンパク質を分解する装置の構造2011

    • 著者名/発表者名
      水島恒裕
    • 学会等名
      第4回兵庫県立大学シンポジウム
    • 発表場所
      神戸市産業振興センター(兵庫)
    • 年月日
      2011-09-13

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公開日: 2013-07-10  

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