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2011 年度 実施状況報告書

ミトコンドリアにおけるアポトーシス孔開閉機構の動的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23657084
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

清水 重臣  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードアポトーシス / ミトコンドリア / 電子顕微鏡 / 生体膜
研究概要

アポトーシスの分子機構においては、ミトコンドリアの膜透過性亢進が必須の現象であるにもかかわらず、その膜透過性を担う分子装置の詳細は不明である。そこで本研究においては、このミトコンドリアの膜透過装置の構造と機能の連関を電子顕微鏡による超微形態から解き明かす事を目的として研究を行い、以下の成果を得た。1、膜透過装置の構造解析:マウス肝から単離したミトコンドリアにBH3ペプチドを投与し、アポトーシス反応を起こさせた後に、電子顕微鏡切片法にてミトコンドリアの膜変化を観察した。その結果、ミトコンドリア外膜の顕著な変形を観察する事ができた。この変化は、変異型BH3ペプチドの投与や、Bakを欠損させたマウス由来のミトコンドリアでは見られなかった事より、アポトーシス時のミトコンドリアの膜透過装置であるものと思われた。2、原子間力顕微鏡を用いた解析:上記の実験系において、単離ミトコンドリアの膜表面を原子間力顕微鏡にて観察したところ、電子顕微鏡で観察した変化が確認された。3、膜透過装置関連分子の同定:酵母細胞にBax分子を過剰発現することにより、哺乳動物細胞で誘導されるミトコンドリアの膜透過性亢進を模倣することができる事を見出した。また、酵母の遺伝学を用いて、膜透過装置関連分子の同定に成功した。4、ミトコンドリアの膜透過装置が活性化する時に、Bak分子が構造変化する事を見出し、活性型Bak特異的抗体を作製した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最大の目的は、アポトーシス時に観察されるミトコンドリア膜の変化を超微形態学を用いて把握することである。実際、申請者は、肝ミトコンドリアにアポトーシス反応を起こさせた後の電子顕微鏡観察により、ミトコンドリア外膜の顕著な変形を捉えることに成功した。また、同様の変化を、原子間力顕微鏡を用いた実験においても確認することができた。 さらに、酵母の遺伝学を用いて、膜透過装置関連分子の同定にも成功している。 これらの成果より、本研究は順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

アポトーシス実行時のミトコンドリアの膜透過性亢進機構を解明する為に、以下の実験を行なう。即ち、1、阻害剤を用いたアポトーシス孔の構造捕捉:アポトーシス孔を制御し得る抗体や低分子化合物を同定した上で、ミトコンドリオンに添加してアポトーシス孔が開口した状態を維持し、超微形態学にて観察する。2、抗体ライブラリーと低分子化合物を用いた関連分子の同定:⑴上記の抗体や低分子化合物の標的分子を同定する。⑵抗体や化合物にQ-dotを固着し、細胞死孔における局在を超微形態学にて観察する。3、既知の分子によるアポトーシス孔制御:アポトーシス孔に含まれていることが予想されている分子に関して、その抗体にQ-dotを固着し、電子顕微鏡を用いて局在を観察する。4、上記の知見を基に、リポソーム上で過渡的細胞死孔を再構成する。

次年度の研究費の使用計画

主要な実験装置は整っている為、研究費は、一般試薬とプラスチック器具を中心に全て消耗品として使用する予定である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] Involvement of Beclin 1 in the engulfment of apoptotic cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Akimitsu Konishi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 287 ページ: 13919-13929

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.348375

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Delayed-onset caspase-dependent massive hepatocyte apoptosis upon Fas activation in Bak/Bax-deficient mice.2011

    • 著者名/発表者名
      Hikita H, Takehara T, Kodama T, Shimizu S, Shigekawa M, Hosui A, Miyagi T, Tatsumi T, Ishida H, Li W, Kanto T, Hiramatsu N, Shimizu S, Tsujimoto Y, Hayashi N.
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 54 ページ: 240-251

    • DOI

      DOI: 10.1002/hep.24305.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatial coupling of mTOR and autophagy augments secretory phenotypes.2011

    • 著者名/発表者名
      Narita, M, Young RJ Andrew, Arakawa S, Samarajiwa SA, Nakashima T, Yoshida S, Hong S, Berry LS, Reichelt S, Ferreira M, Tavar S, Inoki K, Shimizu S, Narita M.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 332 ページ: 966-970

    • DOI

      DOI: 10.1126/science.1205407

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stress-activated protein kinase MKK7 regulates axon elongation in the developing cerebral cortex.2011

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki T, Kawasaki H, Arakawa S, Shimizu K, Shimizu S, Reiner O, Okano H, Nishina S, Azuma N, Penninger JM, Katada T, Nishina H.
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 31 ページ: 16872-16883

    • DOI

      DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1111-11

    • 査読あり
  • [学会発表] オートファジーを標的とした難治疾患克服への戦略2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 学会等名
      新適塾「難病への挑戦」(招待講演)
    • 発表場所
      豊中市
    • 年月日
      2011年9月2日
  • [学会発表] オートファジーと神経変性疾患2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 学会等名
      「病態に根ざしたALSの新規治療法開発班」平成23年度ワークショップ(招待講演)
    • 発表場所
      千代田区
    • 年月日
      2011年9月22日
  • [学会発表] Alternative macroautophagy2011

    • 著者名/発表者名
      Shigeomi Shimizu
    • 学会等名
      Parkinson Disease and Mitophagy
    • 発表場所
      文京区
    • 年月日
      2011年6月11日
  • [学会発表] Various Types of Cell Death and Autophagy2011

    • 著者名/発表者名
      Shigeomi Shimizu
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2011年12月15日
  • [学会発表] アポトーシスと非アポトーシス細胞死2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 学会等名
      第73回日本血液学会(招待講演)
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2011年10月14日
  • [学会発表] 様々な疾患を惹起するミトコンドリア細胞死孔の解析2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 学会等名
      第84回日本生化学会
    • 年月日
      2011-09-24
  • [学会発表] 細胞死とオートファジーのクロストーク2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 学会等名
      日本Cell Death学会
    • 年月日
      2011-07-29
  • [図書] 細胞死解析プロトコール2011

    • 著者名/発表者名
      清水重臣
    • 総ページ数
      223
    • 出版者
      羊土社
  • [産業財産権] 抗癌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法2012

    • 発明者名
      清水重臣 室橋道子
    • 権利者名
      国立大学法人東京医科歯科大学
    • 産業財産権番号
      特許: 特願2012-026377
    • 出願年月日
      2012年02月09日
  • [産業財産権] ベンゾチオフェン化合物、並びに該化合物を有効成分とするオルタナティブオートファジー誘導剤及び抗癌剤2012

    • 発明者名
      清水重臣 室橋道子 細谷孝充 吉田満
    • 権利者名
      国立大学法人東京医科歯科大学
    • 産業財産権番号
      特許: 特願2012-026373
    • 出願年月日
      2012年02月09日

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公開日: 2013-07-10  

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