研究課題
本研究はリボソームの一部の自己抗原部位(ストーク複合体)の構造と抗原性との関係を探り、新規抗体作成系開発の手がかりを得ることを目的としている。平成25年度は以下の研究に取り組み一定の成果が得られた。1)新たな抗体産出系構築に向けた抗原サンプル設計と免疫化:P1/P2自己抗原の古細菌相同タンパク質であるaP1が4量体を形成すること、およびこれに対しウサギを免疫化したところ保存されたそのC末端配列に対して抗体が産出されることが判明した。この結果より古細菌の(aP1)4-四量体が、動物細胞のP0-P1-P2五量体より簡単に作製できる新たな抗原母胎になりうることを示す知見が得られた。そこで、aP1のC末端配列を動物のリボソームタンパク質S6のC末端配列と置換し、ウサギを免疫化した結果、S6抗体の産生を確認することができた。2)抗P FabとC末端ペプチド複合体の結晶構造解析:ここまでの研究で得られている抗Pモノクローナル抗体(IgG)をパパイン処理してFabを調製し、ヒトP0/P1/P2の共通C末端部位の22アミノ酸からなる合成ペプチドと混合し各種条件で結晶化を試みた。その結果、リン酸化型ペプチドとFabを混合した場合により良質の結晶が得られている。目下条件の精密化を行っている。3)P0/P1/P2のリン酸化による抗P抗体結合性への効果:大腸菌で発現し再構成したP1-P2二量体とこれをカゼインキナーゼでリン酸化したP1-P2二量体とで抗P抗体との結合性を比較した結果、リン酸化による抗P抗体作用のわずかな増強が見られ、抗体認識へのリン酸化の効果が示された。4)P1/P2のN末ドメインとC末端抗原部位を繋ぐリンカー部位(ヒンジ領域)の抗体結合性への寄与:N末端と抗Pエピトープが部位を繋ぐヒンジ領域を除いたP1とP2変異体を調製したが抗Pとの結合性の分析までには至らなかった。
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Nucleic Acids Res
巻: 41 ページ: 8776-8787
10.1093/nar/gkt636
巻: 41 ページ: 3635-3643
10.1093/nar/gkt044
http://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/uchiumi-ito/