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2012 年度 実績報告書

抗体遺伝子への選択的変異導入におけるASF/SF2の新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23657092
研究機関岡山大学

研究代表者

金山 直樹  岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (70304334)

キーワード抗体 / 体細胞高頻度突然変異 / スプライシング因子
研究概要

抗原に対する抗体の親和性は、抗体遺伝子上に起こる体細胞高頻度突然変異によって向上する。 AIDの発現がこの変異導入に必須であることは示されているが、変異導入装置の実体およびその抗体遺伝子への標的化機構は多くが謎である。我々は、選択的スプライシング因子ASF/SF2のアイソフォーム(ASF3)を欠損すると、抗体遺伝子への変異導入が消失することを見いだした。本研究では、変異導入装置の活性化および抗体遺伝子への標的化の維持においてASF3が決定的な役割を担っているかどうかについて、突然変異能を有するニワトリB細胞株DT40を用いて検討した。
ヒトASF1のみを発現するDT40-ASF細胞を用いて変異誘導能を有するASF/SF2アイソフォームの同定を行ったところ、ニワトリASF/SF2のアイソフォームASF1、ASF2、ASF3のうちASF3のみ変異を復活させる能力を有することが分かった。ASF3の発現は、抗体以外の遺伝子へのAID依存的なDNA損傷には見られなかったことから、ASF3の効果は抗体に選択的であることが示唆された。また、ChIP解析では、ASF3が抗体可変部遺伝子上に存在し、また、ASF3発現が抗体遺伝子上のAID量に影響を与えないことから、ASF3が抗体遺伝子上でAIDの活性発現に影響を与えていることが示唆された。また、生存に必須なASF1の欠損を補完出来ないドミナントネガティブ体(DN)のASF1をDT40-ASF細胞に導入したところ、大量にDN-ASF1を発現させた場合にDT40-ASFの変異能力の回復が若干見られた。この結果は、ASF3の作用がASF1のRNAプロセシングに対して阻害的であることが示唆された。実際、抗体遺伝子のスプライシングを受けない転写産物がASF3の発現によって増加することも、このASF3機能に関する作業仮説を支持していると考えられる。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] n vitro substrate phosphorylation by Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase using guanosine-5′-triphosphate as a phosphate donor.2012

    • 著者名/発表者名
      Saki Yurimoto et al.
    • 雑誌名

      BMC Biochem.

      巻: 13 ページ: 27

    • DOI

      doi:10.1186/1471-2091-13-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 胚中心における B 細胞のnegative selectionと濾胞樹状細胞2012

    • 著者名/発表者名
      曲 正樹ら
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 58 ページ: 259-265

  • [雑誌論文] 抗体遺伝子への突然変異能を有するニワトリB細胞株の機能拡張によるin vitroモノクローナル抗体作製・改良システム2012

    • 著者名/発表者名
      金山直樹ら
    • 雑誌名

      細胞工学

      巻: 31 ページ: 1159-1165

  • [学会発表] ヒト型抗体産生ニワトリB細胞株DT40を用いた抗原特異的抗体の作製

    • 著者名/発表者名
      川上夏奈江
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 変異能力を有する培養B細胞株DT40を用いた新規なタンパク質ディスプレーシステムの開発

    • 著者名/発表者名
      日笠卓哉
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] ニワトリB細胞株DT40-SWを用いた異種抗体改良システムの構築

    • 著者名/発表者名
      佐井燕
    • 学会等名
      第64回 日本生物工学会大会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] A splicing isoform of the splicing factor SRSF1, SRSF1-3, has role in R-loop formation in IgV hypermutation.

    • 著者名/発表者名
      金山直樹
    • 学会等名
      2012 日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
  • [学会発表] 抗体遺伝子への突然変異能を有するニワトリB細胞株の抗体工学的応用による抗体機能改変

    • 著者名/発表者名
      金山 直樹
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会 年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
  • [学会発表] スプライシング因子SRSF1のアイソフォームSRSF1-3は, R-loopを形成することでIgV高頻度突然変異を誘導する

    • 著者名/発表者名
      川口 祐加
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会 年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
  • [学会発表] DT40細胞株を用いたin vitro抗体作製システムにおける, 抗原レセプターの刺激に依存した生存による抗原特異的抗体産生細胞の選択法の開発

    • 著者名/発表者名
      渡邊 康二
    • 学会等名
      第35回 日本分子生物学会 年会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
  • [図書] 次世代抗体医薬開発に向けた抗体工学の最前線 監修:熊谷泉 第13章 ニワトリ抗体ライブラリーからの高親和性抗体の作製2012

    • 著者名/発表者名
      金山直樹
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      シーエムシー出版

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公開日: 2014-07-24  

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