研究課題
一分子レベルでタンパク質を簡単に観察する手法の開発が求められている。本研究では、ライトガイド型フローセルを開発し、光学基板に固定せずに、タンパク質一分子が発する蛍光を継続的に観測することを目的として計画した。昨年度の研究において、一分子観察のための共焦点顕微鏡の開発などを行った。しかし、その後の検討から当初計画したライトガイド型のフローセルの製作が実用上困難であることが判明した。そのため、本年度は方針を変更し、微細加工技術による石英製のフローセルの加工を集中して行い、本研究の目的であった基板に固定化しない一分子観察装置のための新規デバイス製作を行った。具体的には、一分子観察を大きく進展させるさや流型フローセルと、溶液混合型フローセルの製作を行った。第一に製作したのは、一分子観察の際に試料分子を溶液中の特定の位置に制約するためのさや流セルである。このために、石英板を微細加工し、ダム構造と呼ばれる構造体を作り込むことで、試料流と運搬流を制御することに成功した。このセルを用いることで、試料流をフローセルの中心部にのみ流すことを可能にした。第二に製作したのは、溶液を混合しながら一分子観察を行うための混合型フローセルである。このセルを成功させるには、一分子観察のための浅い流路に、溶液混合が可能な十分な流速をながせるように、入念な設計が必要となる。そのため、流体力学的な考察を行い、適度な流速により溶液混合を可能にするセルの設計を行った。このセルをさらに製作することで、溶液混合後の試料の一分子観察が可能になると予想される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (19件) (うち招待講演 5件)
Biophysical Journal
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