研究課題
本研究目的は、自然界で最も幅広い吸収帯を示す光受容タンパク質の一つである、“ロドプシンタンパク質群”の「色を知り」「色を作る」ことである。代表者がこれまで蓄積してきた、幅広い吸収極大を持つ数十種類のロドプシンを実験的に解剖し、分担者が理論的に予見し解釈を与えることとした。[1] 実験(代表者):560nm付近(紫色)に極大吸収を持つ、センサリーロドプシンI(SRI)と、バクテリオロドプシン(BR)について、種々の変異体を作製し、480~600nmの様々な色(吸収帯)を持つ人工的ロドプシン分子の作製に成功した(前者はSudo et al. (2011) J. Biol. Chem., 後者はSudo et al. (2013) J. Biol. Chem.)。この研究を通じて、新しい色制御メカニズムを提案すると共に、発色団レチナールの構造及び、周辺アミノ酸残基の重要性を確認した。また、他のレチナールタンパク質へも拡張し、それらの効果の普遍性について確認した(Mori et al., (2013) Phys. Chem., Tsukamoto et al., (2013) J. Biol. Chem.)。[2] 理論(分担者):量子化学計算の高精度化を目指し、アルゴリズムや力場の検討を行った。1)で得られた実験結果を計算により分子論的に解釈することに成功した(Sudo et al., (2013) J. Biol. Chem.)。また、さらに波長変化が期待できるモディフィケーションを理論から提案し、実験的に確かめることが出来た(Sudo et al., in preparation)。さらには、これら創成分子を使って、動物・線虫内での発現と光行動制御にも合わせて成功した(Sudo et al., (2013) J. Biol. Chem., and in preparation)。このように、実験と理論の融合により、これまでに無い波長変換体を創成することができた。このような研究成果(期間中に10報を越える原著論文を発表)からも、本挑戦的萌芽研究は当初の目的以上に、研究が進展したものと考えている。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (2件)
J. Phys. Chem. B
巻: 118 ページ: 1510-1518
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 未定 ページ: 未定
10.1002/ange.201309258
巻: 117 ページ: 3449-3458
J. Biol. Chem.
巻: 288 ページ: 21581-21592
10.1074/jbc.M113.479394
巻: 288 ページ: 20624-20632
10.1074/jbc.M113.475533
Chem. Phys.
巻: 419 ページ: 23-29
10.1016/j.chemphys.2012.11.020
J. Am. Chem. Soc.
巻: 135 ページ: 8908-8919
10.1021/ja401540g
巻: 135 ページ: 12976-12979