これまでに確立した光照射系および光照射方法を用いて、種々の細胞に多種類の条件でレーザー光照射を行った。骨芽細胞や脂肪細胞の前駆細胞だけでなく、癌細胞や膵ベータ細胞も実験に用いる対象とした。前年度までの結果から、波長405nm、664nm、または808nmのレーザー光をpreadipocytes、prechondrocytes、myoblasts、mesenchymal stromal cells、lung cancer cells、insulinoma cells、fibroblasts、cervix adenocarcinoma cells、macrophagesまたはbasophilic leukemia cellsに種々のパワーで照射したところ、波長405nmレーザー光(青色光)を照射した場合に細胞内の活性酸素種量の増大がみられた。この研究結果から、活性酸素種がセカンドメッセンジャーとして働いていることを考察し、リアルタイムPCRにより細胞内活性酸素種に起因するmRNA発現の定量を行った。その結果、細胞増殖に関するmRNA、カルシウムシグナリングに関するmRNAの発現量が青色光照射後に増大していることを明らかにした。 本研究課題である「レーザー光照射が細胞に及ぼす影響の解明」について、比較的波長の長い領域のレーザー光よりも、波長の短い青色光領域のレーザー光が、細胞に機能変化を与えることを明らかにした。
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