研究課題
本研究では、多孔体界面を利用して、タンパク質の構造解析に必要な良質かつ高強度のタンパク質結晶を高確率で作製する技術の開発を目的としている。様々な多孔体素材を使って濃度や塗布量の最適化を行ったところ、アガロースゲルの塗布量2マイクロリットルにおいて良好な結果が得られた。具体的には、エラスターゼの結晶化スクリーニングにおいて、多孔体がない結晶化スクリーニングでは8条件であったものが、多孔体界面での結晶化では13条件に増加した。このことから、多孔体に接触させることによって核発生が誘発されることが確認できた。また、結晶化プレートの開発に取り組んだ。本技術を適用するためには、平坦に高濃度アガロースゲルを塗布する必要がある。そこで、市販のディスペンサーによる高濃度ゲルの塗布を試みたところ、結晶化プレートを精度高く作成できるシステムを構築できた。そして、溶液と多孔体の界面付近にレーザーを照射することで、高確率で結晶が得られる現象を見出した。溶液と多孔体の界面付近にレーザーを照射すると、多孔体界面に対して垂直に向かう流れが発生する。それにより、レーザー照射直下にタンパク質が輸送され、局所的に高タンパク質濃度領域が形成され、核発生が促進されると予想している。このレーザー照射によってグルコースイソメラーゼにおいて核発生確率の上昇が見られた。さらに、申請者らが見出した溶液攪拌法との組み合わせ技術を検討した。蛋白質-蛋白質複合体(GAPDH-CP12)で品質の向上がみられ、構造解析の成果にも繋がった。また、リゾチームを使った実験では、結晶の温度因子の低下が見られたため、通常の溶液攪拌と同様に品質向上に効果がある可能性があると考えられた。
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