研究課題/領域番号 |
23657112
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大竹 史明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (60447373)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ユビキチン / 質量分析 |
研究概要 |
ユビキチン分子内の翻訳後修飾を、LC-MS/MSによって網羅的に同定を試みた。まず内在性ユビキチンの精製系を構築した。精製産物は高分子量画分を質量分析に供することで、既知のポリユビキチン化サイトであるK11、K48、K63の同定に成功した。さらにこれらの存在量を定量したところ、既存の論文に発表された数値と同様の傾向を示した。このことから、ユビキチン精製系の構築に成功したと判断した。 次に、FLAGタグ融合ユビキチン発現細胞からの抗FLAGアフィニティー精製により、翻訳後修飾の同定を試みた。その結果、複数の新規翻訳後修飾の存在の可能性が示唆された。また、内在性ユビキチンを抗ユビキチン抗体で精製し、再現性の有無について検討した。観察された修飾については、細胞内での修飾・脱修飾の阻害剤を用いた比較検討により、細胞内で実際に起きる修飾であるかあるいは測定上の誤同定であるのかを検討を行った。 さらに、ユビキチン化蛋白の精製方法の検討により、特徴的なユビキチン修飾の同定を検討した。ヒストンは古くより知られたユビキチン化蛋白であり、その多くがモノユビキチン化状態にあることが知られている。そこで、モノヌクレオソームを抽出し、ヒストンH2A、H2Bを精製し、モノユビキチン化H2A/H2Bにおける翻訳後修飾を同定を試みた。その結果、既知のヒストンユビキチン化サイトが同定され、系の確認を行った。さらに新規のユビキチン修飾を同定し、解析を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
翻訳後修飾の同定において、測定上の誤同定が起きることが判明し、細胞内での修飾反応であるのか、アーティファクトであるのかを、阻害剤などを用いて比較検討する必要が生じた。これら検討によって問題は解決したが、網羅的な修飾同定に関してはやや遅れている現状である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き新規のユビキチン翻訳後修飾を同定する。この際質量分析法を用いるとともに、修飾・脱修飾阻害剤への依存性を検討することで細胞内での修飾反応であることを証明する。さらに同定された新規修飾に関しては特異的抗体を作製することで細胞内での動態や局在などを検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の多くは消耗品として使用予定である。同定された翻訳後修飾を証明するために、標識された標準ペプチドが必要である。また細胞内での動態や局在の検討のため、重要性の予想される新規修飾に関しては特異的抗体を作製する予定である。その他細胞培養に必要な試薬や、精製に必要な抗体などに研究費を充てる予定である。
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