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2011 年度 実施状況報告書

脂質非対称を感知するセンサーと細胞内シグナルの分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23657120
研究機関北海道大学

研究代表者

木原 章雄  北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50333620)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード脂質 / 脂質非対称 / 生体膜 / シグナル伝達
研究概要

Rim101経路は細胞膜に存在するRim21,Dfg16,Rim9,アレスチン様タンパク質Rim8,エンドソームに存在するRim13,Rim20,Snf7,転写因子Rim101からなるシグナル伝達経路である。Rim101経路はもともと酵母が細胞外のアルカリ環境に適応する際に応答する経路として見つかってきたが,我々は脂質非対称を感知し,応答する経路として同定した。本研究において我々はアルカリ応答と脂質非対称応答では同じ因子を認識しているという仮定を立て,その検証の中で膜電位を認識している可能性を示唆する結果を脱共役剤CCCPを用いた実験から得ることに成功した。さらに我々はRim101経路の中でどの因子が実際にセンサーとして機能しているか検討した。Rim101経路の因子のうち機能的に最上流に位置し,細胞膜に局在するRim21,Dfg16,Rim9がセンサー候補であると考えられた。そこでこれらの因子にデグロン配列を付加させ,一過的にそれらのうちの1つのみを分解したところ,Rim21を分解した時のみRim101経路が遮断された。このことはRim21がセンサー本体であり,Dfg16,Rim9はむしろRim21の補助因子として働くことが示唆された。Rim21はDfg16及びRim9と相互作用しており,RIM9及びDFG16の遺伝子欠損株中ではRim21の細胞内局在や安定性,翻訳後修飾(リン酸化)に異常が生じていた。これらのことからRim9,Dfg16はRim21と複合体を形成することで,Rim21の細胞膜局在を促し,安定に機能することを補助していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

23年度の研究計画に挙げたRim101経路が感知する本体の同定という項目に関しては膜電位を認識しているという結果を得た。また,もう1つの脂質非対称センサー分子の同定と解析という項目に関しては,Rim21が本体であること,またDfg16とRim9には補助因子(調節サブユニット)であることを明らかにできたので,概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

Rim21が膜電位を認識するセンサータンパク質であるという結果を受けて,次の課題としてはRim21がどのように膜電位を認識し,またRim21のどのドメイン/アミノ酸配列がその認識に関わっていくかを明らかにすることである。さらに,Rim101経路因子以外の脂質非対称因子関連因子の同定についてもマイクロアレイ解析等によって行なっていく。これらに関しては24年度の研究計画に既に記載しており,予定通り進行させる。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額の236,689円のうち,136,689円は平成23年度に実施した実験の試薬購入の支払いに利用する。残り100,000円については研究計画の変更により,予定していた実験を次年度に行うこととなったため発生したものであり,24年度に行う当該実験のための試薬を購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 脂質非対称の乱れに対する細胞応答の網羅的解析2011

    • 著者名/発表者名
      小原圭介
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011年12月16日
  • [備考]

    • URL

      http://www.pharm.hokudai.ac.jp/seika/index.html

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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