研究課題/領域番号 |
23657125
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大杉 美穂 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00332586)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 中心体 / マウス初期胚 / 微小管 |
研究概要 |
γチューブリン環状複合体(γTuRC)は微小管重合核として必須の役割をもつ。その主要構成 分子であるγチューブリンは、多くの生物種で2種存在する。哺乳動物の場合、TUBG1、TUBG2 と よばれる 2 種類のγチューブリンはアミノ酸配列が95%以上同一であり、両者の機能的な違いは不明である。中心体の微小管形成に対する寄与が低い、あるいは無い細胞では TUBG2 の発現が高いという相関があることなどから、両者にはγTuRC として機能する場や制御機構に違いがあるのではないかとの発想に至った。本研究は TUBG2の発現が顕著なマウス卵、初期胚を用い、両者の機能の違いを探ることを目的としている。また、癌細胞における異所的な TUBG2 の発 現の有無を調査し、新たな癌マーカーや、治療の標的候補としての可能性を検討する計画をたてた。本年度はアミノ酸組成がほとんど同一であるTUBG1,2遺伝子産物をSDS-PAGEにおける電気泳動度の違いとして検出するためのゲル組成の条件検討を行い、マウスよびヒトそれぞれについて適切な条件を見出した。更に、この条件を利用してヒト正常細胞2株、癌由来ヒト細胞株23種類についてTUBG1,2の発現をウエスタン解析により検討し、癌由来の10数ラインについてTUBG2の発現の可能性を示唆する結果を得た。また、マウス初期胚においてTUBG1,2のノックダウンを効果的に行うための条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3つの柱となる研究計画のうち(2) TUBG1,2それぞれの発現を確認するための方法、手技開発、および(3)各種癌由来細胞株におけるTUBG2の発現の検討については予定通り進んでいる。しかし、(1)TUBG1,2の機能の違いの有無の検討については、TUBG2のノックダウンの効果的なノックダウン法が確立できておらず、更に条件検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
研究テーマ(2)、(3)については予定通りに研究を進める。特に、TUBG2の発現が高い可能性があるいくつかの細胞株に集中した解析を行う。(1)については、早期に高効率のノックダウン可能なsiRNA配列を見出す努力をすると共に、TUBG2ノックアウトマウスが利用できる環境が整ったため、その初期胚や胎児線維芽細胞株を用いてのアッセイ系に重点を移すことで克服する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度からの持ち越し課題である、各細胞種におけるTUBG1,2の発現抑制実験に必要な消耗品費(培養用の培地や試薬、酵素、プラスチック/ガラス器具、顕微鏡用消耗品)としてxxx万円、マウスの購入や飼育に必要な費用として約120万円を予定している。また、マウス初期胚での遺伝子ノックダウンについては効果的な方法についての情報交換を行うため、学会参加や研究打ち合わせのための国内旅費として約40万円を予定している。更に、経年劣化等による機器修繕費として、ここ5年間にかかった費用の平均値である約30万円を予定する。
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