研究課題/領域番号 |
23657126
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50115929)
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研究分担者 |
鈴木 倫毅 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80456649)
尾里 納美 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), COE特任助教 (60547454)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 膜脂質 / 電子顕微鏡 / 凍結割断レプリカ |
研究概要 |
アルキン基を持つpropargylcholineおよびアジド基を持つL-azidohomoalanineをそれぞphosphatidylcholine、蛋白質の前駆体アナログとして取り込ませ、クリック反応で検出するための実験条件について検討した。哺乳類培養細胞および酵母の両方を用いて、0.1~5 mMの濃度の前駆体アナログを数時間~1日間培養液中に添加したのち、アルデヒド固定し、propargylcholine についてはCy3-azide, biotin-azide, Fluor488-azide、L-azidohomoalanineについてはbiotin-acetyleneと反応させることにより、特異的な蛍光標識を得ることができた。またpropargylcholineについては細胞の増殖等への影響はなく、cholineと同様に利用されることを確認した。さらに同一サンプル上でクリック反応と、抗体による標識あるいはGFPを蛍光二重観察する方法を確立した。また上記前駆体アナログを取り込ませた細胞を急速凍結し、凍結割断レプリカ上でクリック反応を行わせ、電顕レベルで新規合成されたphosphatidylcholineを可視化することも可能になった。哺乳類細胞と酵母ではphosphatidylcholine分布に大きな違いがあり、その意義について検索中ある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光顕レベルでの膜分子前駆体の投与条件、およびクリック反応による可視化のための反応条件について、決定することができた。また電顕レベルでもクリック反応による可視化が可能なことが分かった。これにより次年度の計画を予定通り行うことが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
1)Kennedy経路で合成されるホスファチジルコリンの動態について、種々のflippase, scramblaseなどの遺伝子を改変した酵母を作製し、クリック反応を用いる方法で解析する2)上記ホスファチジルコリンおよび新規合成蛋白質の電顕レベルでの局在解析を、凍結割断レプリカ法と低温重合樹脂切片法を併用して行う。凍結割断レプリカを用いた方法では膜の内葉と外葉の違いについても解析を進める。3)新たな膜脂質合成を必要とするオートファゴソームや脂肪滴の形成過程について、ホスファチジルコリンの動態を検索する。1)の結果をもとに、特定の遺伝子の改変が及ぼす影響について解析し、膜脂質合成とオートファジー、脂肪滴形成の関連を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)消耗品費:1) 薬品:膜分子前駆体、クリック反応のための蛍光標識試薬、酵母の遺伝子改変などに必要な分子生物学用試薬、酵母や哺乳類細胞を培養するのに必要な試薬、血清などを購入する。 2) 培養器具:哺乳類細胞を培養するためのプラスチック器具などの購入に充当する。 3) 実験器具:凍結割断レプリカ作製に必要な白金、アルミ試料台など、樹脂包埋切片を作製するのに必要な低温重合樹脂などを購入する。2)旅費:関係分野の動向調査および研究成果の発表のために、国内学会に参加する費用を申請する。3)その他:研究成果を論文発表する際の投稿料、カラー印刷費等に充当する。
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