研究課題/領域番号 |
23657132
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石谷 太 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (40448428)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Wntシグナル / 二機能性制御因子 |
研究概要 |
Wnt分子は、組織形成の際に、局在する発生源から濃度勾配を持って発せられ、その濃度に応じた強さのシグナルを細胞に入力し、その結果として、連続した空間内で複数種の細胞運命を誘導する。しかしながら、Wnt分子の濃度勾配やWntシグナルの入力強度勾配は比較的なだらかであり、組織空間内で隣接する細胞が受け取る"シグナル入力"の強さに大きな差はない。それにも関わらず、構築中の組織内では、Wnt分子濃度に応じて隣接する細胞群がそれぞれに違う運命を選択する。おそらくこの過程においては、「アナログ方式で入力されるWntシグナル入力をデジタル処理し、特定の運命に細胞を振り分けるシステム」が存在すると考られる。本研究では、Wntシグナルが支配する様々な組織の前後軸、背腹軸、遠近軸に沿ったパターン形成における"Wntシグナルデジタル処理機構"の存在の証明と、その実体解明を目指す。 本年度はまず、構築中の組織におけるWntシグナル入力強度パターンを解析するために、d2EGFPの蛍光によりWntシグナルを可視化したゼブラフィッシュ系統を作製した。この系統を用いることで、構築中の組織におけるWntシグナル入力の時空間パターンを正確に把握することができた(Shimizu et al. Developmental Biology投稿中)。しかしながら、ゼブラフィッシュ胚におけるd2EGFPの蛍光は定量が困難なため、Wntシグナル出力強度パターンを正確に解析できなかった。そこで、発光タンパク質遺伝子Elucを独自改良した超短半減期Eluc(Eluc-CP)を用い、Eluc-CPの発光によりWntシグナルを可視化したゼブラフィッシュ系統を作製した。そして、この系統を用いることでゼブラフィッシュ生組織におけるWntシグナル出力強度パターンを解析することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
d2EGFPの蛍光によりWntシグナル出力を可視化したゼブラフィッシュ系統を作製し、この系統を用いることで、構築中の組織におけるWntシグナル入力の時空間パターンを正確に把握することができたが、ゼブラフィッシュ胚におけるd2EGFPの蛍光は定量が困難なため、この系統を用いたWntシグナル出力強度パターンを正確に解析できなかった。その対策として、発光タンパク質遺伝子Elucを独自改良した超短半減期Eluc(Eluc-CP)を用い、Eluc-CPの発光によりWntシグナルを可視化したゼブラフィッシュ系統を作製し、この系統を用いることでゼブラフィッシュ生組織におけるWntシグナル出力強度パターンを解析することに成功した。しかしながら、Wntシグナル出力の可視化に手間取ったために、入力の可視化が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
Wntシグナルの入力(Wnt分子拡散を可視化)したゼブラフィッシュの作製し、これを前年度に作製したWntシグナル出力可視化ゼブラフィッシュと併用することで、"Wntシグナルデジタル処理機構"の存在を証明する。また、Wntシグナルデジタル処理機構の実体解明に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度に作製したゼブラフィッシュ系統及び24年度に作製するゼブラフィッシュ系統の管理・維持のために、技術補佐員、アルバイトを雇用する。 二機能性制御因子によるWntシグナル出力デジタル処理機構を解明するために、ゼブラフィッシュ発生遺伝学的解析用試薬(モルフォリノやmRNA合成試薬など)や分子生物学的・生化学的解析用の試薬(細胞培養用の培地や血清、遺伝子導入試薬や各種酵素類、抗体など)を購入する。 ゼブラフィッシュの飼育用のシャーレ、細胞培養用のシャーレ、マイクロチューブなどの、大量のプラスティック製ディスポーザブル製品を購入する。
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