研究概要 |
代表者をふくむ国際共同研究チーム(スペイン国立がん研究センター、アメリカロックフェラー研究所)は、染色体の動原体部分に存在する脱リン酸化酵素が複数種ある事があきらかにし、さらにそれらが互いに異なる機能を果たしていることが示唆された。姉妹動原体同士の結合にはSgo1タンパク質が必要であることが分かっていたが、今回はSgo2タンパク質の解析を行い、このタンパク室がSgo1とは異なり、姉妹動原体同士の結合には必要ないこと、そしてそのかわり二極性の分裂期放錘体の形成に必要である事が明らかとなった。このように配列上は互いに良く似たSgo1、Sgo2両タンパク質は異なる機能を持っているが、その違いは結合しているPP2A脱リン酸化酵素の種類によって生み出されている事を示唆する事ができた。いっぽう研究上、必要な脱リン酸化酵素に対するポリクローナル抗体の作成も着々と進んでいる。これまでPPPファミリーの脱リン酸化酵素に対する抗体群が準備されていたが、それに加えて二重特異性脱リン酸化酵素(Pten1, Pten2, Slingshot, Cdc14A, Cdc14B, Myotubularin他)に対する抗体である。データベースサーチからはEnsaがこれまで予想していた以上のリン酸化を受けている事が分かり、今後の研究の発展方法が広がったことは重要な進展であった。特にチロシン残基がリン酸化されているという知見は、このタンパク質が増殖やストレス等の刺激を受け取り、それを生化学的な力に転換している可能性をしめしており、今後につながる進展である。
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